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競争の伝統 「レ・ミゼラブル」日本公演20周年

2007年06月14日14時39分

 東宝ミュージカル「レ・ミゼラブル」が87年6月の日本初演から20周年を迎えた。ロンドン発の大ヒット作の翻訳上演にあたり掲げたテーマが「スターを創(つく)るミュージカル」。言葉通り、全配役をオーディションで選ぶ伝統が踏襲されてきた。東京で始まり、福岡まで5カ月間ロングランする記念の舞台に、交互出演している4人のジャン・バルジャンも、厳しい競争を勝ち抜いた実力派俳優たちだ。

写真主役のジャン・バルジャンを演じる4人。(上段右から時計回りに)別所哲也さん、今井清隆さん、山口祐一郎さん、橋本さとしさん=東京都千代田区の帝国劇場で

 今回、初出演でいきなり主役を射止めた橋本さとしは、役作りで伸ばしたひげが端正なマスクを覆う。

 「バルジャンを追うジャベール警部役をめざしてオーディションを受けたんです。でも、演出家が僕に見つけてくれたバルジャンの資質を信じて演じたい」

 原作は市民社会へと激動する19世紀のフランスを活写したユゴーの大河小説。19年間の悲惨な獄中生活を隠して新たな人生を選ぶバルジャンは、炎のような激しさと慈父のような温かさをあわせ持つ難役だ。

 初演の滝田栄と鹿賀丈史に続き、97年から演じる山口祐一郎は「開幕からピークの状態で演じなければならない大変な役」と話す。

 A・ブーブリルとC・M・シェーンベルクのフランス人コンビの作品を英国のJ・ケアードとT・ナンが潤色・演出。ロンドンやニューヨークで絶賛され、超ロングランを記録した。「クリエーターたちの感度が最も鋭敏なときに生まれた作品だけに、『ここは抑えて』といった発想がない」と山口は推し量る。

 03年からバルジャン役の今井清隆は88年からアンサンブルで出演。91年にジャベールを演じた生き字引的な存在だが、その後は一時劇団四季に転じた。

 「二つの役名と26着の衣装が出発点だった、思い出深い作品に、再び出られるとは思わなかった。多くの役を演じた経験が、作品をより深く考えることにプラスになっていると思う」と顔をほころばせる。

 同じく03年から演じる別所哲也は、学生時代に見た初演の衝撃がいまも忘れられないという。長年あこがれ続けた作品に主演する重圧におしつぶされそうになった03年当時のけいこ中、支えとなったのは、ケアードの言葉だった。

 「『バルジャンは聖人君子ではなく、どんどん自分が分からなくなっていくのです』と。死の瞬間まで悩み、惑う。それが人間なんだと納得できました」

 ◇酒井洋子訳。東京公演は8月27日まで、帝国劇場で。東宝テレザーブ(03・3201・7777)。福岡公演は9月4日〜10月24日、博多座で。劇場(092・263・5555)。

 ◆4人に、二つの同じ質問をぶつけてみた。

Q1→原作小説は読みましたか?/Q2→ジャン・バルジャンの印象を漢字1文字で表現すると?

今井 (1)初めてバルジャンを演じる前に (2)魂

山口 (1)高校の夏休みに宿題で (2)一瞬一瞬で変わるので回答不可能

別所 (1)大学生の時 (2)命

橋本 (1)未読。迷ってしまいそうなので (2)魂

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