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ヒット曲で彩る戦後の夢 ミュージカル「ザ・ヒットパレード」

2007年07月24日15時10分

 戦後のショービジネス界をリードした渡辺プロの創業者、渡辺晋・美佐夫妻をモデルにしたミュージカル(ワタナベエンターテインメント企画・製作)。二人の半生が、世に出したヒット曲の数々とともにつづられる。鈴木聡脚本、山田和也演出。音楽の宮川彬良は、バンドを率いてピアノ演奏もしている。

 ベーシストと学生バンドのマネジャーとして出会い、結婚したシン(原田泰造)とミサ(戸田恵子)は、ミュージシャンの生活の安定を図ろうとプロダクションを設立。歌手を育て、ショーを企画し、テレビ番組や映画を作り――と、新しい芸能ビジネスを展開し、成功させてゆく。演技に歌に実力を発揮する戸田がパワフルでチャーミングなミサを造形して舞台の軸となり、原田は人々に楽しさを届けたいと願うシンを愛すべき人物として表現する。

 ただ人間ドラマとしては物足りない。ミサが「夫は自分を愛しているのか」と不安を歌うナンバーや、大物になった二人に気後れがすると友人(升毅、北村岳子)らが離れてゆく後半などに陰影はあるが、夫婦の葛藤(かっとう)や周囲との摩擦はあまり描かれておらず、平板な印象が残る。

 しかしその不満を音楽の魅力が覆う。オリジナルナンバーもいい曲だが、劇中にメドレーで登場する歌の多彩さと楽しさに圧倒される。その数54、しかも40代以上ならほとんど口ずさめるであろう大ヒット曲ぞろいだ。それを宮川(一部は引地洋輔)があの手この手で編曲して繰り出し、きらきら光る歌の奔流が心を浮き立たせる。出演する「RAG FAIR」らの歌唱力が生き、堀内敬子と瀬戸カトリーヌが演じる「ザ・ピーナッツ」が素晴らしいデュエットを聴かせる。特に彼女らのラストコンサートの場面は圧巻だ。

 この舞台は、世代を超えて息長く広がる歌があった「戦後」と、その時代の夢を作った人々にささげられたオマージュ(敬意)だ。みんなが親しめる歌が極端に少なくなった今の音楽シーンとの差も、改めて実感する。

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 31日まで、東京・ルテアトル銀座。

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