現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>舞台>演劇> 記事 幸四郎、30日から渋谷で「シェイクスピア・ソナタ」2007年08月25日15時16分 松本幸四郎が日本の創作劇の上演のためにつくった演劇企画集団「シアターナインス」が10周年を迎えた。30日に開幕する記念公演「シェイクスピア・ソナタ」は岩松了の作・演出。シェークスピアの4大悲劇すべてに主演した幸四郎が、4大悲劇をたずさえて日本を巡る旅役者を演じる。「区切りの年に格好の作品に恵まれました」と語る。 ◇「感性と冒険心は失わず」 高麗屋一家とシェークスピア劇との縁は深い。幸四郎は祖父(七代目)、父(白鸚)と3代続けて演じた「オセロー」に加え、「ハムレット」「マクベス」「リア王」の4大悲劇を経験。若き日の「ロミオとジュリエット」では蜷川幸雄と出会った。3人の子もすべて、シェークスピア劇に出演している。 「4大悲劇を演じた男」という、幸四郎本人と重なるモチーフを出発点に戯曲を書き下ろした岩松と組むのは、01年の「夏ホテル」以来2回目となる。「シェークスピアは苦手」という岩松は等身大の人々が繰り広げる悲喜劇に仕立てた。 沢村(幸四郎)の一座は北陸の有力な後援者邸の仮設劇場で毎年恒例の4大悲劇を上演する。そこは死別した先妻の実家。看板女優だった先妻の死後すぐに二番手女優(緒川たまき)と再婚した沢村に対する先妻の妹夫婦(伊藤蘭、高橋克実)の目は冷たい。先妻の父である当主が客席に姿を見せぬまま、芝居の幕は開く……。 「七宝を塗り固めて宝石を埋め尽くしたようなシェークスピアの絢爛(けんらん)たるせりふをしゃべっていると、役者は壮大な世界に浸れる。しかし岩松さんはそんな劇世界を皮肉な目で見つめ、ドタバタと暮らす役者たちの日常を描いた。ひとことで言うなら、『チェーホフの目で見たシェークスピアの世界』でしょうか」 歌舞伎、ミュージカル、翻訳劇にテレビドラマ。役者・幸四郎は長年、縦横に活躍してきた。なぜ企画の重責も担い、現代劇の創作に乗り出したのか。 「演劇の魅力はたくさんあるが、突き詰めていくとせりふ、言葉が大切だと思う。優れた劇作家の多い現代の日本で、作家・演出家・俳優・お客様が知的なゲームのように楽しめる舞台をつくりたいという思いがきっかけでした」 過去の上演作には岩松のほか三谷幸喜、市川森一、マキノノゾミといった人気作家の名が並ぶ。こうした才能との出会いが自身を磨き、演技の可能性を広げてくれると幸四郎は言う。「役者は何でもやる必要はないが、求められたら何でもできないといけない。新たな刺激に反応し、演技という形で客席に届ける。そのために必要な感性と冒険心は失いたくない」。創作劇への思いを語る姿に、「勧進帳」の弁慶、「ラ・マンチャの男」といった彼の当たり役に通じる覇気と情熱が漂った。 ◇9月26日まで、東京・渋谷のパルコ劇場。9000円。電話03・3477・5858(劇場)。 PR情報この記事の関連情報 |