現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>舞台>演劇> 記事 「負を糧にする母」創造 佐久間良子、新国立劇場初出演2007年09月15日15時28分 佐久間良子が、開場10周年を迎えた新国立劇場(東京・初台)に初出演する。演じるのは、ギリシャ悲劇をもとにした川村毅の新作「アルゴス坂の白い家」の主役クリュタイメストラ。夫アガメムノンを殺し、娘エレクトラと息子オレステスに命を狙われる母親の物語を、現代の芸能一家に置き換えた家族劇だ。「けいこ場では、どんな母親像を創造するかに集中しています」と話す。
同劇場の演劇部門の新芸術監督・鵜山仁が企画した中劇場の連続公演「三つの悲劇――ギリシャから」の、第1弾でもある。本作の演出も手がける鵜山から、出演を懇請された。 「これまでの舞台は和物の商業演劇が多かったのでちゅうちょしましたが、鵜山さんとは何度か仕事をご一緒して気心が知れているので、出演を決めました」 ギリシャ悲劇がモチーフとは聞いていたが、実際に届いた戯曲は複雑な構成の現代劇でもあった。 夫アガメムノン(磯部勉)は映画監督、クリュタイメストラは大女優、娘エレクトラ(小島聖)は新進作家、妻の愛人アイギストス(石田圭祐)はシナリオライターとして登場する。壮大なギリシャ悲劇の世界は、夫が撮影中の戦争映画をめぐる家庭内の不和へと、あえて卑小化されている。 この架空の物語を書き続ける劇作家・島岡(中村彰男)が原作者エウリピデス(小林勝也)と問答を繰り広げる場面が外側に仕組まれ、ここでは佐久間は劇作家の母を演じる。 「家族をめぐるトラブルや悲劇は、数千年間変わらずに続いている。愛情や喜び、優しさだけでなく、苦しさや悲しさ、怒りを引き受け、それらの負の感情も糧にして生きていくような母親を演じたい」 大女優にして母。まるで佐久間本人をイメージしたかのような役だが、「私は離婚して2人の子を育てましたが、家では母親に専念し、一歩外に出たら仕事ときっちり線を引いてきました」。長男の平岳大は02年、順風満帆だった会社員生活を捨てて27歳で俳優デビュー。初舞台は父の平幹二朗、佐久間と共演した「鹿鳴館」だった。 「息子は周囲から親の名前が出されることに反発し、16歳でアメリカに留学しました。私は『行くなら4年は帰って来るな』と送り出した。家族とは一見平穏無事なようでも、仮の殺し合いをし、関係修復し、新たな出発をするものなのではないでしょうか」 今年は3本の舞台に出演する。けいこ場での真摯(しんし)な姿勢は演劇関係者の間でつとに有名だ。「おけいこは好きですね。日々積み上げていく中で向上を実感できるし、発見があるから」。連日の長いけいこの疲れも見せず、ほほ笑んだ。 ◇20日〜10月7日。前売り、7350円〜3150円。電話03・5352・9999(劇場)。
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