現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>舞台>演劇> 記事 斎藤憐、俳優座で「豚と真珠湾」2007年09月29日15時13分 斎藤憐作、佐藤信演出による新作「豚と真珠湾 幻の八重山共和国」を10月4日から、俳優座が上演する。1945年から約5年間の沖縄・石垣島を舞台に、活力に富んだ人々の群像と、戦後の日本、そして沖縄を描く。資料は数百冊、執筆だけで「1年間苦闘した」という力作には、伸びやかなユーモアもあふれている。 ◆戦後の沖縄・石垣が舞台 「群像通じて時代を描きたい」 斎藤・佐藤による俳優座公演は05年「春、忍び難きを」に続き、2本目。俳優座養成所で学んだ2人の数十年ぶりの「里帰り」と話題になった「春、――」は、長野県の農家を通して戦後を生きる人々を見つめた秀作で、斎藤は紀伊国屋演劇賞、鶴屋南北戯曲賞を受けた。 斎藤は今回、ほぼ同じ時期の石垣島を取り上げた。 八重山諸島は戦後しばらく本島との連絡が途絶え、「無政府状態」になった。そこで島民たちは自治のために「共和国」独立を宣言した。米軍の進駐で短期間で消えたその「夢の共和国」を核に、斎藤は史実を積み上げ、想像を広げた。劇中には、海でつながる台湾、ハワイも視野に入れた大きな世界がある。 「前作はリアリズムで書いたが、今回は少し次元が飛ぶような部分も作った。沖縄からの戦後の告発という調子ではなく、ロマンのある海の人々の物語でもあります」と語る。 料理屋の女主人、その息子で復員した新聞記者、中学の歴史教師、密貿易で稼ぐ女、台湾出身の男、戦災孤児の姉弟、日系2世の米軍通訳ら多彩な人々が登場する。 「その時にいたであろう人たちを想像し、それぞれの人物が切実さを持って生きている姿を描く。それが芝居だと思う」 斎藤は多くの戯曲で、有名無名の様々な人物を通して、日本と世界の近現代を見つめてきた。今年、地人会が再演した「朝焼けのマンハッタン」も、93年の作品が今日的な意味を持ち、改めて観客を感動させた。 「生まれた時代から逃れられない人々の群像をリアルに書くことで、時代を書きたい。人は誰もが、ものすごい矛盾を抱えている。小手先で作れる、符号のような人間なんていません。わかりやすい因果律からどれだけ離れられるかをいつも考えています。同時代を生きる、血の通った別々の人間が描ければ、寿命の長い戯曲になるのではないかと思っています」 公演は14日まで、東京・六本木の俳優座劇場で。大塚道子、可知靖之、中野誠也、長浜奈津子らが出演。5250円、学生3675円。電話03・3405・4743(俳優座)。 PR情報 |