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「疎外感」が織りなす悲劇 蜷川演出「オセロー」

2007年10月01日14時42分

 シェークスピア四大悲劇の一つ「オセロー」が、彩の国さいたま芸術劇場(さいたま市)の「彩の国シェイクスピア・シリーズ」に登場する。主人公の黒い肌の将軍は吉田鋼太郎。演出する蜷川幸雄は「美しくセクシーで、少年のように怒り、叫ぶオセローに」という。オセローの若い妻デズデモーナは蒼井優が演じる。

 シェークスピア劇の出演経験が豊富な吉田は、この作品を演出したこともある。しかし「こんなに大変な役だったのかと改めて思いました」と言う。

 ベニス公国の将軍であるムーア人オセローは、年の離れた貴族の娘と愛し合い結婚する。しかし、部下の旗手イアゴー(高橋洋)の策謀で、妻が浮気していると思い込まされ、破滅する。

 「オセローの心理は実に複雑。『しっとに狂って妻を殺した愚かな男』では悲劇になりません。腕一つでのし上がったマイノリティーの男が、克服したと思っていた劣等感をイアゴーに突かれて、崩れてゆく。その悲しみを表現したい」

 蒼井はデズデモーナがオセローを愛する「真っすぐな強い気持ち」を大事にしている。けいこに入る前にベネチアを訪れた。「現地に立ったことで、舞台の空間を超えた広さを想像しながら動くことができる。いい経験でした」

 映画での活躍が目覚ましいが「舞台では、けいこでいろいろなことを試す時間がある。芝居を作るってこういうことなんだなと感じます」と充実した表情だ。

 近年の英国の舞台などでは、オセローよりイアゴーに重心を置く演出が目立つ。しかし蜷川は「彼らは同じ根を持ち、幹がねじれてからみあってしまった2本の松の木のよう」と見る。

 「いつ使い捨てられるか分からない有色人種の将軍と、戦場で手柄をたてても家柄の良い者に先を越されて出世できない旗手。階級社会から疎外されている2人の緊張感や怒りは、最初から沸点に達している。私も具体的に差別されたことはないのに、英国で仕事をする時は神経が過敏になる。白人の目ではなく、そういう者の目から見た悲劇を作る」

 吉田も高橋も、蜷川作品でおなじみの実力派。「テレビではなく舞台で育った彼らが中心の公演を、興行的にも成功させたい。公共劇場である『彩の国』ではそういう環境作りもしたいと考えています」

 公演は4〜21日(前売り券は完売)。当日券などの問い合わせは電話048・858・5511(劇場)。11月まで富山、北九州、名古屋、大阪を巡演する。

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