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現代映す「三文オペラ」 演出・白井晃、ブレヒトの代表作に挑む

2007年10月05日15時07分

 ブレヒトの代表作「三文オペラ」の演出に白井晃が挑んでいる。世田谷パブリックシアター(東京・三軒茶屋)の10周年記念の一環として、9〜28日に同劇場で上演する。主演は吉田栄作。酒寄進一による新訳台本で、劇中歌には、出演者でもあるミュージシャンのローリーが歌詞をつけた。現代の古典ともいえる作品に新しい感覚でアプローチしている。

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吉田栄作(右)、ローリー(左)と演出の白井晃=東川哲也撮影

 「今でも畏怖(いふ)の念でいっぱいです。作品の精神をきちんと出せているかと自分に問いながら、作っています」。名作を演出する気持ちを白井はそう語る。

 1928年にベルリンで初演された「三文オペラ」は、盗賊団のボス、メッキ(吉田)を中心に正邪の逆転など、混沌(こんとん)とした世界を鋭い風刺の目で描いている。

 「いまの日本では、持てる者はますます富み、格差は広がるばかり。社会の内実は作品が書かれた頃と変わらないのではないか」。そこで19世紀末のロンドンという原作の設定から離れ、台本も思い切って現代的な言葉遣いにした。

 「現代の東京・渋谷かも、上海かも、マカオかもしれない場所での出来事とした。アジア的な舞台に、というより、演劇というのがもともとそういうものであるように、我々の現状と社会を映し出したくて」

 メッキも、ならず者というより「どうせこんな世の中なら、開き直って悪いことをしてやろうという人物と考えた。だから、清潔感のある吉田さんに演じてほしかった」と言う。

 それを受けて吉田は「メッキの内面はピュアなのだと思う。周りの人を愛したいし、愛されたい。愛情に飢えた人物なのでしょう」。

 クルト・ワイルの音楽はこの作品の大きな魅力。歌詞を担当したローリーは「難解な曲も多いですが、何度も自分で歌い、日本語として自然に聞こえることを第一に考えた」と話す。

 メッキの元恋人、娼婦(しょうふ)ジェニー役で出演もする。「強烈な女性は男が演じた方が罪がない、という感じもします。彼女はメッキを警察に売るようなドライな感覚も持っている。この劇は登場する全員が自分のことしか考えていない。そこがいいですよね」

 篠原ともえ、大谷亮介、銀粉蝶、佐藤正宏、猫背椿らが共演。7500〜5500円。電話03・5432・1526(劇場)。

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