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劇団「維新派」が新作「ノスタルジア」 移民らの歩み点描

2007年10月27日14時18分

 壮大な規模の野外劇や変拍子に乗せた独特なせりふ回しで知られる大阪の劇団「維新派」が、新作「ノスタルジア」で、4年ぶりとなる首都圏での公演を行う。作・演出した主宰の松本雄吉は「20世紀をロードムービーのように振り返る3部作の第1弾」と語る。

 大阪でこの夏初演した「ノスタルジア」は、05年に海外公演で回ったブラジルやメキシコでの体験が原点となった。「多くの日系人に出会い、移民の記憶をたどる旅がしたくなった」

 小さな人間が地球上を自在に動き回るようになった移動の世紀。「それは同時に核爆弾やクローン技術など、人間がモンスター化した時代でもある。そのイメージを3部作の象徴である〈彼〉にゆだねてみた」。〈彼〉とは劇中に登場する4メートルの巨大な人形のこと。3部作すべてに現れて、さまざまな人々の営みを見つめ続ける。

 物語は日本の移民船がサンパウロに到着した1908年から始まり、戦争や革命をくぐり抜けて生きる移民や先住民たちの数十年にわたる歩みが点描される。「創作期間は1年。役者がみんなけいこ好きで、身体がどんどん変化していくので、それを大切にして表現も深めていった」と松本は話す。

 美しい巨大な舞台美術と様式的な動きを交えた独特の演技に加え、大阪弁のイントネーションを生かして5拍子や7拍子でせりふを語る「ヂャンヂャンオペラ」と呼ばれる音楽的表現も維新派の特徴だ。音楽の内橋和久と組み、ラテン調を盛り込んだ旋律にインカ帝国の言語・ケチュア語やスペイン語も乗せた。「マチュピチュなんて最高におもしろい響き。アジアから離れたことで音楽的な可能性も広がったと思う」

 数々の海外公演が話題を呼び、岡山県の離島・犬島で上演した「カンカラ」(02年)で朝日舞台芸術賞を受けるなど評価も高めてきたが、「地元の大阪でも僕らはまだ異端やね。野外劇や白塗りの役者への抵抗があるのかも」。今回は大阪の初演から劇場で上演し、新たな観客をつかんだ手ごたえを得たという。

 首都圏での公演は03年の「ノクターン」(新国立劇場)以来4年ぶり。「当時は劇場の使い方を知らなかった。『ノスタルジア』は最初から旅公演を構想していたので、維新派の世界を劇場に封じ込めるつもりで作った」。次作は野外劇の予定で、「あっと驚くような場所」に〈彼〉が登場することになりそうだ。

 11月2〜4日、さいたま市の彩の国さいたま芸術劇場。5000円、4500円。劇場(048・858・5511)。

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