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三島戯曲、再び 「薔薇と海賊」「朱雀家の滅亡」

2007年10月30日16時21分

 三島由紀夫の戯曲が、11月から12月にかけ、相次ぎ上演される。三島の薫陶を受けた村松英子主演・演出「薔薇(ばら)と海賊」、長く魅了されてきたという宮田慶子演出「朱雀家の滅亡」。壮絶な自決から40年近くたった今なお、三島戯曲は、エロスと美と死、国家意識にまつわる諸問題を突きつける。

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「先生の作品は魂を昇華させる」と話す村松英子

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宮田慶子

 「薔薇と海賊」では童話作家の阿里子(村松)と、自分こそ童話の主人公と信ずる青年・帝一の夢物語のような純愛が描かれる。1958年初演。三島が自刃した70年、三島の希望で、紀伊国屋ホールで上演され、村松は阿里子を演じた。今回は37年ぶりとなる。

 村松にとっては、忘れようにも忘れられない「痛い」作品という。「先生の死と結びついてしまった戯曲だから」

 70年10月22日。初日の終演後、三島は村松に「すばらしかったよ、ありがとう」と言った。「『ありがとう』なんて言ったことはなかった。驚きました」。地方公演から帰京した2日後、11月25日に三島は死んだ。

 2幕の終わりで帝一は言う。「僕は一つだけ嘘(うそ)をついてたんだよ。王国なんてなかったんだよ」。ここで三島は2度泣いたという。

 「舞台げいこと初日でした。少年の自分を見いだし、傷がうずいたのかもしれません」

 三島作品には、俳優も演出家も難渋するといわれる。「三島劇の女性は、女を否定して演じないと、抽象的なせりふが血肉化、感覚化しない。でも、素直に接すれば、わかりやすいし、演じていて自己が解放される」

 「朱雀家の滅亡」を演出する宮田は三島作品は初めてだ。「『いつかは』と思ってきた戯曲」と話す。

 太平洋戦争末期、朱雀侯爵家に因縁浅からぬ女中おれい(佐久間良子)や、当主経隆(金田龍之介)らを中心に一家の崩壊を描出する。67年に初演された。

 「20代のころ、支離滅裂な演劇も目立った中で、『朱雀家〜』を読んだ。文体はさんぜんと輝き、品格の高さに打たれ、ひたすらあこがれました。演劇による人間美の表現の根本に、三島を置くようになった。でもハードルが高すぎて、相当の覚悟と経験の積み重ねが必要でした」

 宮田は演出の際「推理探偵に変身する」という。「作家の頭の中を見て回るのです。『朱雀家〜』は唯美主義以上に、忠誠心、アイデンティティー、国家体制、家柄、戦争など、国家意識が薄い現代日本の一番突かれたくないところも突いてくる」

 「薔薇〜」は11月2〜9日、東京・新宿の紀伊国屋ホール。大出俊、村松えりらも出演。6000円。サロン劇場電話03・3945・5384▽「朱雀家〜」は12月4〜16日、東京・東池袋のあうるすぽっと。窪塚俊介、森田彩華らも出演。7000円。劇場電話03・5391・0751。

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