現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>舞台>演劇> 記事 新芸術監督、巨匠の遺志どう引き継ぐ スイスのバレエ団2008年03月23日11時40分 スイス・ローザンヌを拠点とする「モーリス・ベジャール・バレエ団」が、創設者亡き後の再スタートを切った。昨年11月に世を去ったベジャールから、芸術監督として後を託されたのは「精神上の息子」とされるジル・ロマン(47)だ。最初の大仕事は、ベジャールの遺作「80分世界一周」の演出。構想半ばで倒れた巨匠の遺志をどう引き継ぎ、作品に仕上げたのか。2月のパリ公演の楽屋で、話を聞いた。
西アフリカ・セネガルを皮切りに、世界を旅する筋書き。ダンススタジオで練習着姿だったダンサーたちが、エジプトやギリシャ、インド、中国、米国、ブラジルなどの場面ごとに衣装を変えて舞う。時折、スタジオの場面に戻り、日常と非日常が行き来する。 旅の行程を決めたのはベジャール自身。しかし、昨秋以降は入院生活となり、振り付けは数場面しか手がけられなかった。 「そこで私がやったのは、彼の過去の作品から、場面ごとに見合う振り付けを見つけ出すことでした」。例えば、締めくくりのブラジルの場面は、ロマン自身も踊った「未来のためのミサ」からの引用だ。 登場するダンサーの数を過去の作品と変え、新たに打楽器を取り入れるなど、随所に工夫はした。「でも、私の振り付けは一切ない。『偽ベジャール』は作りたくなかったからです」 ただ、ベジャールの構想と違いも生じた。彼の父の祖母の出身地であるセネガルに最後に戻るはずが、「試行錯誤したが、しっくり来ない」と、その場面を削除する決断をしたのだ。 現代バレエに新しい地平を開いたベジャールのバレエ団に入ったのは、本拠地がブリュッセルだった79年。故ジョルジュ・ドンから継承した「アダージェット」などで名声を獲得。93年にはナンバー2の地位に就いた。ベジャールとは「死や将来についてタブーなく話し尽くした。バレエ団が引き継がれる過程はごく自然だった」という。 遺作となった「80分世界一周」は、昨年12月にローザンヌで初演。パリに続き、ベルギーなど各地で公演予定だ。「日本でもいずれ披露する」というが、芸術監督としては初となる6月の来日公演では、別の作品を予定している。 「日本とのつながりは今まで通り。いずれは私の振り付けの作品も披露していきたい。急がず、自然にね」 PR情報 |