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亀治郎、力量いかに 舞台「風林火山」にアイデア

2008年03月28日15時10分

 言いしれぬひらめきを、形にできる。そんな歌舞伎俳優の市川亀治郎が主演する舞台「風林火山 晴信燃ゆ」(石川耕士脚本・演出)が4月5日から、東京・日比谷の日生劇場で始まる。むろん演出は石川ではあるが、事実上、亀治郎のアイデアをふんだんに盛り込んだ意欲作だ。「演じるより演出の方が好き」とケロリと言いのけてしまう亀治郎の力量、さていかに――。

 井上靖原作の、昨年のNHK大河ドラマを舞台化。テレビは軍師・山本勘助と勇将・武田晴信(後の信玄)の二つの中心軸で展開した感がある。「この二つを重ね、晴信を表側に据えた台本になっています」と亀治郎。晴信と勘助の二役を早変わりで見せる。

 武田家の嫡男にもかかわらず父に疎まれた晴信は長じて、父を追放し甲斐国主となり、宿敵の上杉謙信が治める信濃へと進軍する。しがらみや男女の機微も振り切り、戦に行く晴信。彼を幼少時から見守る武将・板垣信方(JJサニー千葉)。2人の関係が殺伐とした戦国の世にあって、一点の灯のように温かい。

 「血はつながらないけれども親子以上に深く結ばれた2人の愛情がテーマです」という。

 けいこ場で、亀治郎は、通しげいこが終わると、石川の机の前にしゃがみこむ。舞台感覚から思いついたのだろう。アイデアをぶつける姿が印象的だった。

 同心円で外側のドーナツ状部分と、中心側の円状部分が別々に回る「蛇の目のぼん(回り舞台)」を採用。晴信の想念に去来する人物をドーナツ状部分に配してここだけを回し、胸中に渦巻く葛藤(かっとう)を表現する。

 「小劇場向けの手法かもしれませんが、人物の対立構造を表すのに適していると思って。客席からどう見えるか、共演者が演じやすい環境は何かという2点から発想することが多い」

 オープニングでは、幕を利用し、テレビと同じ音楽を流して、タイトルなどを映写。「いつの間にか戦場にいる感じを持ってもらいたい」ため、客席との交流も。現代的な時代劇を主としながら、戦場面ではツケが入り、要所で見えをするなど、随所に歌舞伎の要素もある。馬にまたがっての宙乗りも登場する。

 かつて亀治郎も参加したスーパー歌舞伎の創始者は、伯父の市川猿之助。その卓越した企画力、演出力の継承者に、亀治郎は確実に連なる。「今回のように、様々なジャンルの俳優と舞台を作る。こういうことを今後もしていきたい」。となれば、今回は、将来の方向性をも暗示する。

 「戦国武将の中で、自分は謙信に近いと思っていました。武田軍団は家臣が有能で強力でしたが、晴信自身はそれほど強くなかったようです。人の意見をまとめ、部下を巧みに使う能力にたけていたわけで、それも知将だと考えれば、やはり晴信にもひかれます」

 27日まで。出演はほかに高橋和也、仁科亜季子、笠原章、橋本じゅん、嘉島典俊、守田菜生ら。1万1000〜4000円。03・5565・6000(松竹)。

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