現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>舞台>演劇> 記事 感情の揺れ つぶさに表現 ONEOR8「莫逆の犬」2008年04月25日16時45分 小劇場系の若手劇団「ONEOR8」が、お笑いコンビ「ココリコ」の田中直樹を主演に迎えて新作を上演している。劇団はここ数年、作・演出の田村孝裕のこまやかな人間観察が光るドラマと、客演俳優と劇団員が小空間で繰り広げる緊密なアンサンブルで人気を集めている。異ジャンルの人気者を招いた今回も約150席の小劇場での公演を選んだ。派手さよりも地道な芝居作りを優先する姿勢が、いかにもこの劇団らしい。 結婚を反対されたのがきっかけで母親を殺した一郎(田中)は、恋人(和田ひろこ)のアパートにかくまわれている。劇中では99年冬から08年春まで10年近い歳月が流れるが、一郎は一歩も外に出ない。月に一度、生活費を届ける一郎の父(小林隆)は次第に老け、時々訪れる恋人の弟(関川太郎)は受験生からサラリーマンになる。スーパーで働き始めた恋人には友人ができ、新たな男性も現れる。彼らの外見が変化してゆくのに対し、一郎はくたびれたスウェットを着たきりで、孤立感が強調される。訪問者役の劇団の男優陣が軽妙な演技で舞台に笑いをまぶす。 初舞台の田中が逃亡犯になった心優しい青年を熱演している。突然の訪問者に神経を張りつめる様子、恋人や父との葛藤(かっとう)、外界へのあこがれ。無言で受け身の演技をする間も感情の揺れをつぶさに表現し、それがせりふの説得力にもつながっている。 家族間の殺人や引きこもりといった現代的な主題を据えているが、田村がこだわるのは親密な間柄の人々の日常にふとのぞく感情の裂け目や闇だ。田村自身を投影したと思える一郎の内面にひたひたと迫る劇作と配役の妙とが功を奏し、劇団の新生面を開く作品になった。 27日まで、東京・新宿のシアタートップス。(藤谷浩二) PR情報文化・芸能
|
ここから広告です 広告終わり どらく
鮮明フル画面
一覧企画特集
ショッピング特集朝日新聞社から |