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TVの「映画劇場」、いつしか半減 DVDに押され低迷

2006年05月14日

 「いやー、映画ってホントにいいもんですね」(水野晴郎)、「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」(淀川長治)……。かつては名解説者とともに、看板だったテレビの映画番組。だが、ビデオ・DVDの普及による視聴率低迷を背景に、毎日あったゴールデンタイムの放送は、いつの間にやら1週間で3日のみ。このままテレビの「ロードショー」は消えてしまうのか?

 先月16日。中村獅童、竹内結子主演で、興行収入48億円をあげた「いま、会いにゆきます」が「地上波初」と銘打ち、TBSの特別番組として放映された。

 視聴率は14.1%。TBS編成部の岡田裕克担当部長は「正直15%は欲しかった。しかし、興収85億円をあげた『世界の中心で、愛をさけぶ』でさえ12.1%なのが現状です」と嘆く。

 最近放送された“地上波初”の洋画大作も「マトリックス リローデッド」が16.8%、「ハリーポッターと秘密の部屋」21.7%と期待されたほどの数字は残せない。

◇2社見切り

 「キタキツネ物語」(79年、44.7%)など77年以降の映画番組の視聴率上位15位のうち、90年代以降の作品は「千と千尋の神隠し」(03年、46.9%)など3作品のみ。公開半年足らずでレンタル店にDVDなどが並ぶ最近では特に厳しくなったという。

 その結果、フジテレビはレギュラーの映画枠に“見切り”をつけた。映画枠を03年秋から、映画のみならず、大型ドラマやドキュメンタリー、バラエティーも放送する枠にした。05年度の場合、映画は全体の6割、今年度はさらに少なくする予定という。

 同社編成部の立松嗣章さんは「この枠で放送した昨年の映画の平均視聴率は14.6%、それ以外は17.3%。地上波での映画は、DVD発売、有料放送の放映後になることがほとんどで、かつてのような視聴率は期待できない」と話す。

 TBSでも、93年から映画の枠を廃し、主にテレビドラマを中心に、映画も加えた編成にしている。

 ただし、両局とも映画製作には力を入れる。フジなら「THE有頂天ホテル」や「海猿」、TBSは「NANA」「嫌われ松子の一生」など。高額なヒット映画の放映権を買うより、製作にかかわれば、独占放送だけでなく、様々な面で利益を生み出すからだ。

◇男性に人気

 一方、レギュラー枠を続けるのは日本テレビとテレビ朝日、テレビ東京。

 日テレは水曜から現在の「金曜ロードショー」に変えて継続、「家族がお茶の間でワイワイガヤガヤ映画を楽しめる地上波放送はまだまだ意味がある」と藤本鈴子プロデューサー。

 平均視聴率は98年度の17.6%に対し、昨年度は12.8%と、低落傾向にあるが、同局にとって強みは「スタジオジブリ」の作品を独占放送できること。今年は「ハウルの動く城」の放映が控えている。

 テレビ朝日の「日曜洋画劇場」は今年40年目を迎える。テレビ東京の「木曜洋画劇場」も38年。どちらも名称も放送日も変えず続く長寿番組。男性中高年層の強い支持を受け、両局のゴールデンタイムとしては安定的な数字をあげている。

 テレビ朝日映画センターの福吉健さんは「曜日がら、普段は映画をあまり見ないお父さんたちでも気軽に見られる作品を中心にチョイスしている」。テレビ東京映画部の渡辺一仁さんは「原則は男性に人気の高いアクション。未公開ものの発掘も力を入れる」。それぞれ特色を生かしながら、今後も継続する方針だ。

◇漫然はだめ

 映画評論家の品田雄吉さんは「30〜50代までの中には、テレビの映画をきっかけに映画好きになった人も多いが、今、その使命は薄くなった」と語る。むしろ、街中になくなった名画座の機能をテレビが担ったらどうか、と提言する。

 「深夜などに漫然と放送するのではなく、衛星放送やテレビ東京の昼番組などのように、ある意思をもって特集すれば、テレビの映画番組に新しい意味が生まれるのではないか」

 (視聴率はすべて関東地区、ビデオリサーチ調べ)

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