巨人、伸びぬ視聴率 首位快走でも4月過去最低
2006年05月19日
巨人が負け続けている。ペナントレースではない。テレビ中継の視聴率のことだ。チームは首位を快走しているのに、ナイターでは4月として過去最低を更新した。「巨人が強ければ視聴率は戻ってくる」。これまで放送関係者が信じてきた「神話」は崩壊してしまったのか?
 過去10年の巨人戦の平均視聴率
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◆フィギュア・卓球にも「完敗」
巨人戦は現在、他のスポーツ中継にも、なかなか歯が立たない。
サッカー日本―スコットランド(21.3%)×西武―巨人(10.9%)
フィギュアスケートジャパンオープン(14.5%)×西武―巨人(11%)
ボクシング亀田兄弟・第2部(33%)×巨人―ヤクルト(7.7%)
世界卓球日本―香港(12.9%)×巨人―中日(9.4%)
3年連続で優勝を逃した巨人は今年、開幕ダッシュに成功し、首位に立つ。開幕前の3月にはワールド・ベースボール・クラシックで日本が優勝。決勝の視聴率が43.4%に達したこともあり、野球人気回復を期待する見方は強かった。
だが、4月の巨人戦ナイター21試合の平均世帯視聴率は12.6%。月平均の集計が始まった89年以降では同時期で最低に。年間視聴率も96年と比べると、昨年は10ポイント以上下がった。
昨年、盛り上がった交流戦も振るわない。17.3%だった開幕戦の視聴率は今年10.6%(9日)。その後も10〜12%台と伸び悩む。その上今季は、巨人戦でも放送しないカードが続出。12日の西武戦をはじめ「不戦敗」が目立つ。
◆他娯楽で満足
なぜ巨人戦は不人気なのか。
「プロ野球そのものの人気が蒸発しかかっている」と指摘するのは、巨人ファンの漫画家、黒鉄ヒロシさん。「他のスポーツや娯楽が人気を集めるようになり、もはや試合内容や選手が良ければ視聴率が伸びるという時代は終わったのでは」と話す。
大リーグに詳しい池井優・慶大名誉教授(日本外交史)は、大リーグの存在が野球中継離れを加速させたとみている。「主婦は、午前中に家事をしながら衛星放送で大リーグ中継を見るようになった。イチローや城島らが活躍するメジャーの試合を見て満足すると、応援や解説者がうるさい夜のプロ野球中継を見ようとは思わないのではないか」
地元のファン離れもありそうだ。池井教授は「大リーグのように、日本でも北海道の日本ハム、仙台の楽天、千葉のロッテなどは地域に密着したチーム作りをしている。人気が全国区だった巨人は、地元ファンを取り込む姿勢が欠けているのではないか」と手厳しい。実際、4月末までのナイター平均視聴率は、中日の場合、名古屋地区で15.3%、阪神は関西地区で15.2%と、地元で根強い支持を受けている。
◆中継延長短縮
野球中継を柱としてきたテレビ各局の姿勢も変わってきた。昨年、フジテレビ、TBS、日本テレビが相次いで導入した中継の延長短縮は、今年も続く。最大15分の延長に短縮したTBSの井上弘社長は、3月の定例記者会見で「完全中継は系列のBSとCSが基本」と方針を語った。だが、野球ファンにとっては不満が高まり、さらなるテレビ離れを招く可能性もある。
携帯電話向けのワンセグ放送やデジタル放送のデータ放送の普及を、視聴率回復の切り札としたいと考えるテレビ関係者もいるが、実効性は未知数だ。6月にはサッカーW杯も開幕する。このままでは、シーズン最中にもかかわらず、中継の時間延長打ち切りや生放送の取りやめといった事態も起こりかねない。
CM総合研究所の関根建男代表は「野球中継の中心視聴者といわれる50代男性は、忙しくて自由に使える時間もお金も少なく、スポンサーはCM効果が薄いとみている。40代以下の男性ファンが多いサッカーと対照的。スポンサー離れで中継が減り、ファンがますます離れるという悪循環に入っているのかも」と指摘している。
日本テレビの久保伸太郎社長は危機感を込めて語る。「巨人が好調なだけではだめ。テレビが新しいスターを発掘して、昔の阪神・村山と巨人・長嶋のような対決の構図を見せていかなければならない」
(視聴率は関東地区、ビデオリサーチ調べ)
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