マンネリの心地よさ 土曜ワイド劇場、来月で30年目
2006年06月24日
相次ぐ殺人、適度な旅情やお色気、犯人との絶壁での対決――。そんな2時間ドラマの元祖、テレビ朝日系の土曜ワイド劇場が7月、放送開始から30年目に入る。マンネリとの批判も受けながら、平均15%前後の視聴率を稼ぐ安定した人気ぶり。長寿の秘密は何なのだろう。
土曜ワイドは、77年7月2日に渥美清が主演した「時間(とき)よ、とまれ」でスタート。24日放送の伊東四朗主演「おかしな刑事」で1458本を数える。
初期から制作にかかわってきた塙淳一プロデューサー(65)によると、当時人気だったスピルバーグの「激突!」など米国で制作された長時間ドラマに目を付けたという。「単発・長時間もの」という放送枠は日本で初の試みだった。
当初は2時間でなく、1時間半の放送。79年4月から、今の形に。初期は視聴率が伸び悩んだが、天知茂主演の明智小五郎シリーズなど推理小説を題材にした作品が人気を集め、サスペンス路線が定着した。
看板シリーズの一つが、市原悦子演じるのぞき見趣味の家政婦が上流家庭の秘密を暴露する「家政婦は見た!」だ。松本清張の「熱い空気」を原作に、83年7月に第1作を放送。84年10月放送の第2作が視聴率30.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をとり、人気を決定づけた。
その後も人気シリーズが次々と誕生。「西村京太郎トラベルミステリー」のような旅もの、「混浴露天風呂連続殺人」のようなお色気ものへも幅を広げた。
◇大衆受け多く
そんな土曜ワイドの魅力とは何なのか。
最多の72作品に主演した愛川欽也は、大衆受けする作品の多さを挙げる。「テレビは大衆に愛されてこそ価値がある。いかに心地いいマンネリを作るかを常に意識している」
草分けとしての強みもある。80年代、同時間帯にTBSが2時間ドラマをぶつけてきたが、わずか3年で撤退した。「すでに人気シリーズが何本かあったから、俳優とコアな視聴者はそれほど離れなかった」と塙さんは振り返る。
だが、2時間ドラマを取り巻く状況は甘くない。最近、各局とも勢いがなく、日本テレビは24年続けた「火曜サスペンス劇場」を昨秋、幅広いジャンルを取り上げる「ドラマコンプレックス」に切り替えた。
ある民放キー局の編成関係者は「熟年以上の視聴者に合わせているためか、主役もベテランが多い。これからの世代交代がかなり難しいのでは」と、長寿番組ゆえの問題を指摘する。
◇世相にマッチ
視聴者層をいかに広げるか。現在の土曜ワイド担当、高橋浩太郎チーフプロデューサー(45)は「『法医学教室の事件ファイル』など、世相に合わせて科学的な要素の強い企画を採り入れているほか、新シリーズを積極的に始めることで主役の若返りにもつながっている」と話す。
また、おなじみのシリーズどうしを合体するという新たな試みを始めた。すでに、「牟田刑事官事件ファイル」の小林桂樹、「終着駅」の片岡鶴太郎、「事件記者冴子」の水野真紀という各シリーズの主役3人が顔をそろえる特別企画が、03年から年に1本ずつ放送されている。
コラムニストの丸山タケシさんは、「最近では松下由樹の『おとり捜査官』のように、俳優は地味だがストーリーがしっかりしているのが土曜ワイドの特徴。時代に合わせる必要はあるが、新しけりゃいいというものでもない。わが道を貫いていってほしい」と話す。
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