テレビや映画のヒロインは、制服がお好き
2006年09月29日
この秋、セーラー服姿の2人のヒロインが復活する。「スケバン刑事(デカ)」の麻宮サキと「セーラー服と機関銃」の星泉。いずれも80年代に人気を博した作品のリメークだ。そういえば最近、テレビや映画で、制服姿が目立っている。なぜいま制服回帰なのか。
30日公開の映画「スケバン刑事」は、セーラー服姿の少女がヨーヨー片手に悪に挑むおなじみの漫画原作ストーリーだ。85年、斉藤由貴主演のテレビドラマを皮きりに南野陽子、浅香唯と当時の人気アイドルが次々と主人公を演じた。今回、4代目を松浦亜弥が担う。
約20年をへての復活を、東映ビデオの國松達也プロデューサーは「サキを演じられるアイドルが出てくるのを待っていた」と話す。2年前に発売した歴代のDVDが計13万本売れたことも後押し。今回はCGをふんだんに使ったアクション色が強く、スケバンの象徴だったロングスカートはミニになっている。
一方、10月13日に始まるドラマ「セーラー服と機関銃」(TBS系)は、81年に薬師丸ひろ子が主演した映画が大ヒット。ひょんなことからヤクザの組長を襲名した女子高生を今回、長澤まさみが演じ、不条理を乗り越えて、少女が成長する過程をたんねんに描く。
制服姿の主人公はほかにもいる。夏から劇場を変えながらのロングランが続くアニメ「時をかける少女」は83年の原田知世主演の映画のリメーク。同時期にテレビでは、ドラマ「マイ☆ボス マイ☆ヒーロー」がしばしば視聴率20%を超えるヒットを記録した。長瀬智也演じる27歳のヤクザの若頭が高校生活を送り直す破天荒な物語だ。
制服姿の隆盛を「マイ☆ボス」や学園ドラマ「野ブタ。をプロデュース」を手がけた日本テレビの河野英裕さんは、こう語る。
「私も含め、現場にいる40代前後のプロデューサーは『金八先生』などの学園ドラマで育った世代。一度は作ってみたい人が多い。でも主人公が先生のパターンは出尽くした感がある。そこで生徒に目が向いた結果ではないか」
これに対して國松さんは「最近のドラマは自分探しや純愛といった内省的流れから、熱血、青春というベタで解放的なものへ揺り戻している気がする。制服を着た人がはちゃめちゃなことをする、そんなヒーロー、ヒロインが求められているのではないか」と話す。
学園ドラマの受け手の特徴として、10代と40代、50代の親の2世代視聴が顕著という点がある。今回の「スケバン刑事」は、初代の斉藤が松浦の母親という設定で、ちょうどそんな親子関係が視聴者像に重なっている。
その母親たちが青春時代を送った80年代まで、制服は一種「社会的枷(かせ)」の象徴だった。90年代、少女たちに「いましかできない格好」という意識が芽生え、ルーズソックスなど、自己流の着こなしが社会現象になったり、ミニスカートで暴れまくる「セーラームーン」が大ヒットしたりしたとしても。
テレビや映画にあふれる制服は、枷からの解放を劇的に見せるための装置として見直されている、といっては言い過ぎか。
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