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〈視聴率のふしぎ・中〉NHKも気にする数字

2006年12月05日10時46分

 毎朝、1枚の紙が配られる。

図  

 B4判にテレビ番組表などが張り込まれ、その上に10.8、16.9、8.5と世帯視聴率が書き込まれている。各局の主要番組が一目で比較できる。

◇独善を避けるため

 どの局の朝の風景かといえば東京・渋谷のNHK放送センター。民放のように「祝高視聴率」の張り紙こそないが、関心は高い。受信料で運営しているのになぜCM収入の指標となる視聴率を気にするのか。

 岡田円治編成局長は、「テレビ業界にとって唯一で最大の指標であることは事実。多くの人たちの受信料で制作している以上、民放とは違う意味でどのぐらいの人たちに見られているかを意識するのは当然のこと。視聴率を無視して番組を作れば、独善に陥りかねない」と話す。

 NHKは、海老沢勝二前会長の拡大路線とともに、視聴率重視の姿勢を強めたといわれる。

 例えば紅白歌合戦。かつては70%以上(関東地区、ビデオリサーチ調べ、以下同じ)が普通だったが、最近は50%以下が続き、04年は40%も切った。昨年は視聴率回復に民放出身のみのもんたを司会に起用。担当チーフプロデューサーは50%に達しなければ10年伸ばした髪を「切ります」と断言。結果は42.9%。年明けに丸刈りになった。

 今年はSMAPの中居正広が3度目の登板。彼が司会をした98年の57.2%は87年以降で最も高い数字だ。

 紅白を盛り上げる事前の番組も最近は定着。今年も視聴者からの応援メッセージを紹介する番組など、総合テレビだけで5番組が予定されている。

◇番組のCM増やす

 紅白のような特別なときだけではない。番組と番組の合間で他番組、催しなどを宣伝する30秒のスポットにも、ふだんから力を入れる。いわば自己CM。総合では04年度に比べ1週間で20分15秒の増加。特に平日夕方帯で増やしたという。

 むろん公共放送である以上、視聴率だけで番組編成を決めることはない。

 報道番組だけでなく、「数字があまり期待できなくても、意義のある番組ならゴールデン(19〜22時)やプライムタイム(19〜23時)でも放送していく」と岡田編成局長は話す。

 ある民放幹部の「1けたの数字はゴールデンやプライムから一掃したい」という言葉とは大きく異なる。例えば7月に総合で放送された「女性のうつ」を扱った番組は視聴率は5.7%だったが、「私一人ではないと感じ涙が出た」といった反響が2000件以上寄せられたという。

 それでも、視聴率は無視できない存在になっている。原田豊彦放送総局長は11月22日の会見で、紅白の視聴率目標を聞かれると「とにかくたくさんの人に見ていただきたい」。数字こそ掲げなかったが高視聴率への期待を示した。

 あるプロデューサーはこう話す。「毎分ごとの視聴率と個人視聴率を参考に、番組意図と整合しているかみて、次の番組に生かしています」

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