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〈視聴率のふしぎ・下〉デジタル化に対応できるか

2006年12月06日

 民放を支配し、公共放送にも影響を与える視聴率。一方で、限界もある。

図

デジタル受信機の普及状況

 視聴率は「なぜ見ているのか、集中して見ているのか、満足しているのか」などまでは分からない。そんな「視聴質」をつかむのに各局は頭を悩ませる。

 テレビ朝日は「リサーチQ」と呼ばれるネット利用の調査を97年から慶応大と共同で行っている。NHK、民放5局の午後7時から午前2時までの全番組が対象で、番組を見た人に「満足度」や「集中度」、番組の感想を選んでもらう。結果は数値化され、リアルタイムで社員なら誰でも見ることができる。

 檀野竹美マーケティング担当部長は「視聴者の声がすぐに分かるのは大きい。番組の改善、評価の高い深夜番組をゴールデンタイムに動かすなどの早めの対応が可能になった」と話す。

 視聴率のもう一つの難敵は録画。ドラマなどを録画して後で見るというのは今やごく普通。ビデオリサーチ社によると、現在の調査でもデッキで何が録画されているかは記録できる。ただ、録画された番組が再生されたかどうかは分からない。すべて再生されたとしてもCMを飛ばしている可能性が高いことから、視聴率に加えていない。

 さらにハードディスクレコーダーの普及が、大量に録画し後で見るという視聴態度の変化を生んでいる。「視聴率=番組を見た人の量」という感覚は現実と大きく食い違いつつある。

 約1719万台の受信機(10月末)が普及しているBSデジタル放送も今は「その他」扱いになっており、各局ごとの細かい数字は明らかにしていない。

 民放BS5社は共同で記入式の「接触率」を調査している。804世帯を対象にした今年7月には、5社全体でゴールデンタイムは週平均7.9%だった。来年2月ごろの発表分からは局別の接触率を表に出す方針だ。ある民放幹部は「今までは数字にとらわれない編成ができたが、開局して6年、やはり数字なしでは営業はできない」と話す。

 12月1日から地上デジタル放送が全国の県庁所在地で視聴できるようになり、11年の完全移行へ向けて視聴可能地域は広がりつつある。ビデオリサーチ社も調査世帯の機器をデジタル対応機に取り換え始めている。

 が、地デジで広がる移動体受信機向けの「ワンセグ放送」などには対応できていない。11年の地デジ完全移行時、各家庭でのテレビ視聴は、2台目は携帯電話やパソコンになるのでは、という予測もある。集計漏れが多ければ、視聴率では広告効果を把握できないことになる。

 広告主や民放、広告会社の3者は、デジタル時代の視聴率調査の研究に取り組み始めた。しかし「ビジネスモデルが確立されていない以上、どんなデータが必要なのかも分からない」といった本音も聞こえる。

 視聴者とテレビとの関係を示す最大の指標、視聴率。姿、形や存在価値はどう変わるのだろうか。

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