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笑いの「賞味期限」は? テレビで大量放送、短い旬

2006年12月14日

 テレビをにぎわすお笑い芸人たち。その勢いは止まるところを知らない。でも、待てよ。例えばコミカルソングのコンビ「テツandトモ」の「なんでだろう〜」を目にする機会がめっきり減ったのはそれこそ、なんでだろう。お笑い芸人の怒涛(どとう)の出演が続く年末年始を前に、テレビのお笑いの“賞味期限”について考えてみる。

 いまどきの若者2人がリズミカルに躍りながら、「武勇伝、武勇伝」。「オリエンタルラジオ」の決めのフレーズだ。このほか今年耳に染みついたものといえば、双子コンビ「ザ・たっち」の「ちょっと、ちょっとちょっと」や、「スケバン恐子」になりきった桜塚やっくんが言い捨てる「がっかりだよ」……。テレビのお笑いは、百花繚乱(ひゃっかりょうらん)の様相を見せる。

 しかし、逆に、あれほどテレビに出ていたのに、最近は以前に比べ見る機会がぐっと減ったというギャグもある。

 「なんでだろう」のほか、ダンディ坂野の「ゲッツ」、ギター侍・波田陽区の「残念」、長井秀和の「間違いない」、そしてレイザーラモンHGがハードゲイ姿でひたすら連発した「フォー」……。彼らはブレークした年末から翌年初めにかけピークを迎え、その後、あらかじめ想定されたかのように、ギャグを見せる出番が少なくなった。

 笑いの賞味期限は、短くなっているのではないか。

 『反社会学の不埒(ふらち)な研究報告』の著者、パオロ・マッツァリーノさんは「もともとギャグは廃れる運命にある。大量放送されることで消費サイクルはさらに早くなる」と言う。

 マッツァリーノさんによると、笑いにはオリジナル性の強いギャグと、楽しいムードを作り出すユーモアがある。ユーモアは「ぬるいけれど長持ちする」が、今までにないフレーズを言うギャグは破壊力を持ち、新機軸を投入しないと飽きられる。その意味で「ハイリスクハイリターンのギャグに挑む芸人はすごい」。

 ギャグは、ただでさえ賞味期限が短いのに、テレビで拍車がかかる、という構図だ。

 対照的に、ハナ肇の「アッと驚く為五郎」や関敬六の「ムッシュムラムラ」などという60〜70年代のギャグは、体全体からしみ出すようなユーモアがあったから、長く親しまれたのかもしれない。

 笑いのコラムニスト木村万里さんは現代の笑いを「分化論」でとらえる。「ライブなどでじっくり作り込み長生きさせる笑いと、テレビ用のきてれつな瞬間芸の笑いとに、分かれているのではないか。テレビの芸をライブでやれば5分しかもたないでしょう」

 そのうえで、木村さんはテツandトモをライブ型の芸人に分類。ライブ型なのに、テレビで短期間、集中的にもてはやされたために、「出番が減った」と思われるケースと見る。所属事務所でも「当時は、2人にはむしろ戸惑いがあった。今、本来のステージ活動を中心にでき、充実しています」という。

 一方、受け手側の、笑いをとらえるレベルも、賞味期限に影響しているようだ。

 80年代といえば、漫才ブームに、ビートたけし、明石家さんまらが走り回ったフジテレビ系「オレたちひょうきん族」。お笑い人気絶頂といってもよかった。木村さんは「でも、当時のように人気者が登場しただけで『キャー』となるのは、今は減っている。ネタを手厳しく分析するようになった。インターネットの普及でネタもすぐさま回覧され、同じだと飽きられます。サイクルは当然短くなる」と指摘する。

 強烈なテレビの一発芸は、時として流行語となり、時代の象徴にもなりうる。しかし賞味期限がすぐ来て、忘れ去られてしまう。木村さんは「客層の成熟に伴い、芸人にもテレビとライブを使い分ける力量が必要なのかもしれません」と話す。

 そんなお笑い芸人。ギャグの「旬」が過ぎても生き残る典型的なケースに、司会業などへの転身がある。では、笑い自体での再浮上は難しいのだろうか。木村洋二・関西大教授(コミュニケーション論)は、こう説明する。

 「笑いには、世界をリセット、ゼロ化する機能があります。だから笑わせる側も、まず一度自分をゼロ地点にまで落とすことが大事。その時、笑いとは何かが見えてくるはずだ。名声にしがみつこうとすると、オロオロして見え、また使い捨ての憂き目にあうのではないだろうか」

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