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〈裏切りの演出:下〉繰り返される捏造 社長は2度辞めた

2007年01月30日00時11分

 関西テレビ制作の「発掘!あるある大事典2」を1月7日、自宅で見ていた昭和女子大学の中津川研一教授(食品栄養)は、画面に自らの姿が映し出されたとき、違和感を覚えた。納豆に含まれるイソフラボンについて答えただけだったのに、「DHEAというホルモンにダイエット効果がある」という米国の研究者の説をサポートしているように編集されていたからだ。取材スタッフから番組全体をどうまとめるのか説明はなかった。

 関西テレビの会見後、中津川教授は同社に抗議し、「捏造(ねつぞう)データの裏付けに自分の話が利用され驚いている」とコメントした。

 「あるある」の制作は、「日本テレワーク」(東京)が請け負っていた。同社は、フジテレビのディレクターらが独立し、76年設立。フジテレビ別館にあり、従業員約100人の業界大手だ。「料理の鉄人」「トリビアの泉」「クイズ$ミリオネア」など次々とヒット番組を放ってきた。

 テレワークが制作した情報番組では過去にも捏造が発覚したことがある。テレビ東京系「教えて!ウルトラ実験隊」で05年、花粉症の対処法を「2週間実験して効果があった」と紹介したが、実際は全く実験をしていなかった。

 番組は打ち切りになり、責任を取ってテレワークの社長は辞任した。だが、その後再就任しており、今回の「あるある」の捏造問題で同じ社長が再び引責辞任した。

 テレビ東京は、「実験隊」のVTRの事前チェックでは、テレワークのディレクターから「まだ実験中だが放送日までには結果が出るので大丈夫」と説明を受けただけで、その部分を見ていなかった。

 テレビ東京はその後、同様の番組制作では実験に局プロデューサーが可能な限り立ち会い、「放映3日前」というVTRの納期も厳守するようにした。制作局の人員を60人から20人増やし、制作費も増額した。番組制作に関する20の注意事項をまとめたハンドブックも作った。

 関西テレビは「あるある」にプロデューサーを2人置いていた。テレビ局側は予算管理が主な仕事で、制作全般は下請けに任せていることが多い。関西テレビは、今回の番組のチェック体制についてプロデューサー2人の役割も含めて「調査中」としており、実際の現場に携わった孫請けの制作会社のスタッフらから聞き取りを続けている。

 国は、99年に風評被害が起きたダイオキシン報道でテレビ朝日に、03年には視聴率買収問題で日本テレビに対し、厳重注意した。また、06年に視聴者へ健康被害が起きた白インゲン豆によるダイエット番組をめぐり、TBSに対して警告するなどしてきた。

 今回の捏造について、菅総務相は23日の記者会見で「国民にきわめて影響の大きなものであり、再発防止のための対策を打たなければならない」と話した。

 NPO法人・放送批評懇談会の志賀信夫理事長は「政治がテレビ局への圧力を強める大きな口実を与えてしまった」と心配する。「番組の作り手は影響力の大きさを認識し、自浄する努力をしないと権力につけこまれる」と自戒を促す。

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