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輸入からリメークへ 日韓ドラマ交流

2007年04月25日12時10分

 韓国の連続テレビドラマ「ホテリアー」を、設定はほぼそのままに、日本の俳優が演じる「リメーク版」が、19日からテレビ朝日系で始まった。韓国の連続ドラマのリメークは、日本の民放キー局では前例がない。一方の韓国でも日本のドラマのリメークが近年目立つ。4年前の「冬のソナタ」が火付け役となった「韓流」は、新しい段階に踏み込んだ。

「ホテリアー」日本版にヨン様出演

 「ホテリアー」はホテルの買収劇と友情や恋、親子の葛藤(かっとう)などを描く。韓国では01年に高視聴率をあげた。日本版は上戸彩さん主演。19日の第1回は韓国版で主役の一人だったペ・ヨンジュンさんも出演し、視聴率は関東地区で11%台。韓流ドラマの支持が厚い関西や名古屋は16〜17%だった(ビデオリサーチ調べ)。

 「ヨン様」出演の場面は4月初め、ソウルのホテルで撮影。「日本でのリメークはたいへん光栄。出演できることも幸運で、大切な思い出になります」とうれしそうに語った。

 企画したテレビ朝日の五十嵐文郎・制作2部長は2年前にも韓国映画「ラスト・プレゼント」を単発ドラマにリメーク。「日本のドラマの関係者は今、小説や漫画を中心に原作探しに奔走していて、韓国のドラマや映画も、その『範囲内』にあるんです」と言う。

 「冬のソナタ」が日本で大ブレークしたのは03年。日本のドラマはそれまでしばらくの間、家や社会に縛られない、若者の個の欲望をかきたてるものが主流だった。それらに陰りが見えたとき、親子の葛藤や、共同体で生きる個人を描く韓国ドラマが人気を集めた。

 五十嵐さんは「日本が忘れていたものを呼び起こし、日本でも山崎豊子さんや松本清張さんら、人と人との関係を密に描く昭和30年代の小説からドラマが作られ始めた」と指摘する。

 こうした出来事を、京都大学大学院の小倉紀蔵准教授は「日韓の時代思想がいい意味でねじれ、作品の共有ができた」と考える。近年の日本では「昭和ブーム」も到来。韓国作品はプレモダン、モダン、ポストモダンが交じり合っていて歓迎された、というのだ。

 一方、韓国でも日本のドラマはリメークされている。「星の金貨」「やまとなでしこ」「101回目のプロポーズ」……。今年は「白い巨塔」が山崎豊子の小説からドラマ化されて人気を得た。手がけたアン・パンソク監督は「60年代の小説だが、人はどう生きるかという大きなテーマは古びていない。国を超えて人を感動させる」と言う。

 魅力的な原作は国境を超える時代。国をまたぐリメークとあって、お国柄に沿った演出も必須のようだ。

 日本テレビの井上健・ドラマ制作部長は「日本ならあいまいにする感情を、韓国は突き詰める。物語の随所に社会規範や家父長制がにじむ。日本は人間関係が希薄になったから、日本の俳優が韓国版そのままに演じると暑苦しい」と「濃度」の違いを指摘する。

 韓国の放送映像産業振興院のキム・ヨンドク研究員も「白い巨塔」の日韓双方のドラマを見比べ、「怒ったり泣いたりする演技は日本では抑え気味だが、韓国は激しかった。韓国は男同士の友情も熱く描いていた」と分析する。

「冬ソナ」もリメーク?

 日韓ドラマ交流は、98年10月から韓国で段階的に始まった日本大衆文化の開放が契機になった。韓日文化交流会議の座長として開放に尽力したキム・ヨンウン漢陽大名誉教授と、「冬のソナタ」のユン・ソクホ監督が3月末、来日した。2人は現状をどう見るのか。

 「開放の決断は国内で批判も受けた。それがここまで交流が深まるとは」とキムさんは感慨深げだ。「ドラマなどを通じ、日韓の人々は価値観を共有した。互いの伝統を踏まえ、新たなものを生み出そうとしている。面白い時代になった」

 ユンさんはドラマ交流を評価しつつ、こんな指摘もした。「日本は表現が奥ゆかしい。韓国は表現が直接的で、物語の緊張感が高い。その違いを初めは面白く見たのでしょうが……」

 実際、日本での韓国ドラマの人気は、熱烈なファンが見る有料放送はともかく、地上波では盤石とは言い難い。対して韓国では、まだ地上波で日本のドラマを流せない事情もあるのでリメークになり、日本発ドラマに独自の味を付けた。

 ユンさんは、実は日本で「冬のソナタ」をリメークする考えがあるという。

 「日本の放送局から日本の俳優で、と提案されました。しかし、まだオリジナルの印象が根強い。時期が来たら、ぜひやりたい」

 輸入からリメークへと進んだ「日韓ドラマ交流」。日本の放送局には韓国の脚本家や監督との共同作業を検討する動きもある。交流はいっそう深まりそうだ。

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