現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>テレビ・ラジオ> 記事 オリジナル作品で話題 脚本家井上由美子さん2007年06月26日16時08分 例外的に高視聴率をあげる作品があるものの、テレビドラマの低調が指摘されて久しい。マンガや小説に頼り、オリジナル作品をないがしろにしている、と指摘する声もある。この1年、「マチベン」(NHK)や「14才の母」(日本テレビ系)といったオリジナル作品で話題を呼んだ脚本家の井上由美子さんは「今を描くのがテレビドラマ。オリジナルを放棄したらテレビである必要がなくなる」と話す。
「マチベン」で第25回向田邦子賞を受賞。「14才の母」とともに昨年度の芸術選奨文部科学大臣賞も受賞し、オリジナルを重視する姿勢が評価された。 山崎豊子原作「白い巨塔」や、野坂昭如原作「火垂るの墓」のドラマ化で脚本を担当したことがある。 「すばらしい原作からいただいたものは当然、たくさんある。だからすべて否定する気はないが、あまりにもバランスが悪いなあ、という気はします」と話し、「原作はドラマのために書かれているわけではないですから」と続けた。 オリジナル作品は、視聴者に響くテーマを設定し、その世界観を最後まで見渡して臨む必要がある。その努力が「テレビこそできること」につながると確信している。 テレビ局勤務を数年で辞め、シナリオ教室に通って91年に脚本家デビュー。民放ドラマを書いて「トレンディーじゃない」と言われ降ろされたこともあった。「別にトレンディーじゃなくてもいいじゃないか、逆にそういうのを大事にしよう、と続けてきました」 取材手法は独特。「アンテナを広げるって言いますよね。でも私は広げちゃいけないって思っていて、広げてなくても入ってくるものを大事にしています」。目を皿のように新聞や雑誌、テレビを見ることはない。 電車に乗っても特別な観察はしない。それでも気になった母娘が「14才の母」の下敷きになった。「深刻に怒ったり泣いたりを繰り返していた。ああ、こういう親子もいるのか、と」 フジ系の7月ドラマ「ファースト・キス」(フジ系)は、兄妹愛がテーマ。「社会派っぽくなく、私には珍しくコメディー調で仕立てています」 6月30日スタートのNHK「新マチベン」では、よく目にする企業のおわび会見が生かされた。「本当に謝るべき人なのか。わびる役なのか。発する言葉も自分のものなのか、誰かが考えたのか。謝るって何なのかもテーマにしたかった」 60歳を超えた新人弁護士3人が主役という構想は10年間、どの局からも相手にされなかった。それが団塊世代の大量定年という時代に日の目を見た。 「どこからでも、いつでもスタートは切れる。すべての世代に伝えたい」 PR情報 |