現在位置:asahi.com>文化・芸能>芸能>テレビ・ラジオ> 記事 東京TV事情 午後のワイドショーが消える?2007年09月19日11時38分 東京の午後のテレビ番組からワイドショーが消えてゆく。今月いっぱいで草野仁さんの司会で親しまれた「ザ・ワイド」(日本テレビ系)が終了すると、午後2時〜4時に残る番組は「2時っチャオ!」(TBS系)のみに。昭和の時代には各局とも看板ワイドショーを抱えていた時間帯だが、この10年で様相は一変した。 かつて、午後はワイドショーの時間帯だった。「3時のあなた」「3時にあいましょう」といった長寿ワイドショーが、芸能人の色恋ざたや痴情がからむ事件、皇室ネタでしのぎを削り、圧倒的な存在感を示していた。 だが、平成に入ってから、短命で終わるワイドショーが目につくようになる。くしの歯が欠けるように消え始めたのは、96年から。 最大の理由は、テレビ局が「午後」を、テレビを見る人が少ない時間帯とみなすようになったことだ。 日本テレビの廣瀬健一編成部長は会見で、午後の「ザ・ワイド」は終了させるが、正午付近と夕方は視聴者が多いため、10月からその時間の生情報番組に力を入れると説明。ワイドショーの激戦区は正午付近に繰り上がる。「ずっとテレビを見ているという人が減っている」結果、編成にめりはりをつけざるをえない状況を語った。「ザ・ワイド」の後は、他局と同様にドラマなどを再放送する。 一方、この10年で午前中の番組を含め、旧来のワイドショー的手法の番組もほぼ消滅した。「90年代以降、ワイドショーの報道化・情報化が進んだ」と放送に詳しいジャーナリストの坂本衛さんは語る。ワイドショーが硬派な政治問題や国際情勢なども扱うようになり、脱芸能化も果たした。逆に、ニュース番組には娯楽要素が盛り込まれ、ショー化も進み、両者の境界はどんどんあいまいになってきている。最近のテレビ局の会見でも「ワイドショー」は死語になりつつある。「ニュース情報バラエティー番組」と呼ぶところが目立つ。 ワイドショーの脱芸能化について、その栄枯盛衰を約30年間見てきた芸能リポーターの福岡翼さんは「古風な恋愛観に縛られない視聴者が増えたことや、国民的な俳優や歌手がいなくなったことが大きい」という。芸能人の結婚報告などは記者会見せず、ホームページで発表されたり、マスコミ各社にファクス一枚で報告されたりするため、映像が撮りにくくなったのもこの10年の傾向だという。 ゴシップやスキャンダルに代わって台頭してきたのが実用情報だ。TBSがオウム事件を機にワイドショーから撤退したのが96年。その後に始まった「はなまるマーケット」がこの路線で成功を収め、夕方のニュース番組も、グルメや健康情報を取り込み、競争が過熱した。 テレビ評ライターの桧山珠美さんは、「ワイドショー全盛期には、世の中に井戸端会議のようなコミュニティーがまだあった。でも今はそれが崩壊して個人主義が進んでいる。他人のことよりも、自分が得をする情報に興味がある人が多くなった気がする」という。 だが、“消える午後のワイドショー”は、東京の特殊事情のようだ。特に関西ではまだまだ元気だ。 大阪では、午後の時間帯に芸能ニュースなどを盛り込んだ生放送番組が好調。「東京キー局と違い、ローカルの時間帯に制作力を集中できるのが大阪。芸人もアナウンサーもスタジオトークで話芸を磨き、おばちゃんの心をわしづかみにしている」と東京、大阪でかつて放送作家として番組を手がけていたコラムニストの山田隆道さんはいう。ある大阪の民放社員は「関西は、主婦たちが本音を言い合うコミュニティーがまだ息づいている」とも語る。 日本テレビ系列の読売テレビは「ザ・ワイド」終了後の10月から、自社制作のワイドショー的な番組「情報ライブ ミヤネ屋」の放送時間を拡大する。同系列の地方局のほとんどが「ザ・ワイド」の後継番組として「ミヤネ屋」を放送する予定で、関西ローカルの番組が期せずして全国各地で流れることになる。 PR情報 |