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浮かび上がる心情や余韻 ドラマ音楽

2008年04月29日11時23分

 先月終了したテレビドラマのサウンドトラックが面白い。

 11日後に自殺すると決めたさえない中年男性と、彼を取り巻く男女の人生模様を描いた「あしたの、喜多善男」(フジテレビ系)。ミステリアスな展開に、ジャズピアニストの小曽根真による音楽が見事にマッチし、サスペンスを盛り上げた。とりわけ、静かで美しいメーンテーマ曲が印象的。アレンジを変え、繰り返し使われることで、登場人物たちの心情を浮かび上がらせる。

 「鹿男あをによし」(同)は奈良を舞台に、鹿の命令で日本を破滅から救うために奔走する女子高教師の荒唐無稽(こうとうむけい)な物語だが、特に疾走感あふれるエンドテーマが耳に残る。音楽担当の佐橋俊彦は、NHKの朝ドラ「ちりとてちん」も手掛け、落語という古典世界と泣けるメロディーを効果的に組み合わせ、深い余韻を残した。

 どのドラマにも共通するのは、物語の構成が複雑な点だ。視聴率はふるわなかったが、ともすれば散漫になるストーリーを音楽がつなぎとめる役割を果たした。熱心な少数ファンが集中して見ていた分、音楽の印象が強くなったともいえそうだ。

 70年代のNHKドラマ「男たちの旅路」のサントラが、30年ぶりにCDで復刻されたのも、往年のドラマ好きに嬉(うれ)しいニュース。脚本・山田太一、主演・鶴田浩二。高度経済成長後の、戦中派と若者の価値観の衝突を描いた名作だ。音楽はゴダイゴ。ジャズロック風の前衛感とポップな感覚のミックス加減は、今聴いても新鮮に響く。(山内浩司)

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