エフエム秋田の名物番組「ほろ酔いJAZZ NIGHT」が27日、放送1100回を迎える。ジャズの魅力をリスナーに届けて21年。パーソナリティーの岸部有三さん(61)は「ワインでも飲みながら、ジャズに浸って欲しい」と話している。
毎週日曜の午後8時。ラジオから低い落ち着いた声が流れ出す。「こんばんは、岸部有三です。今夜はブルゴーニュの赤ワイン、ジュブレ・シャンベルタンでも飲みながら、ごゆっくりお楽しみください」
番組は55分。毎回1枚のアルバムを、岸部さんの解説で紹介する。87年4月に始まった。これまで1千人、6千曲以上を紹介してきたという。昭和天皇が崩御して自粛した時を除き、一度も休んでいないのが自慢だ。
ジャズとの出会いは、独協大の学生のころ。友人に誘われてバンドの演奏を聴きに行った。「メロディーの美しさに感動した」。フォークブームでギターをやっていたが、楽器をウッドベースに持ち替え、ジャズに夢中になった。
76年に秋田に戻って家業の酒の卸業を継ぎ、合間にバンド活動を続けてきた。仕事を通じ、ワインにも詳しくなった。しかし95年に会社が倒産。「ジャズとワインしか知らないから」と、ジャズを聴きながらワインを楽しめる店「リッシュブール」を秋田市に開いた。
開局2年目だった同局のアナウンサーと知り合い、「オリジナル番組を作りたい」と相談されたのが、番組のきっかけ。「ゆっくりジャズでも流れるような番組が欲しい」と答えると、「パーソナリティーをやってくれないか」。
気軽に引き受けたが、大変だった。秋田弁は「雰囲気と合わない」と禁止された。緊張して自分で書いた原稿もすらすら読めない。はじめの3年間は、1時間の発声練習があり、55分の番組の録音に3時間かかったという。
「やっと肩の力が抜けたかな」と思えるようになったのは、10年目ぐらいから。ただ、アドリブは今も苦手で、ゲストが登場する回は「冷や汗もの」という。
5年ほど前、中学校でジャズ講座をしたとき、4〜5人から「毎週聴いています」と言われた。「番組を聴いて、ジャズ好きになってくれるのが一番うれしい」と話す。
専門誌などで最新情報を調べ、CDを取り寄せ、気に入ったものを番組で流す。冒頭、おすすめのワインを一言紹介するのも定番だ。
同じ曲でも、演奏家によってまったく違う表情を見せる。いつも新たな出会いがあるのが、ジャズの魅力という。「今後も、リスナーに新たなジャズとの出会いを届けていきたい」