【動画】 英国大使館でターナー展発表会=安冨良弘撮影 |
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18世紀末から19世紀にかけて風景画の傑作を数々生みだし、英国最高の画家と称されるターナーの回顧展(朝日新聞社など主催)が、10月8日から東京・上野の東京都美術館で開かれる。開催に先立つ5月27日、東京都千代田区の在日英国大使館で記者発表会があった。
この「ターナー展」では、世界最大のコレクションを誇る英国テート美術館から、油彩の名品約30点に加え、水彩画、スケッチブックなど計約110点を紹介する。才能きらめく10代の習作から、画壇で成功をつかんだ30代の出世作、英国留学中の夏目漱石が見て、後に小説で触れたともされる50代の大作や、印象派に影響を与えたと言われる最晩年の傑作まで、巨匠の画業を網羅する。
記者発表会では、ティム・ヒッチンズ駐日英国大使が「ターナー作品を楽しむことが、日英の交流を深めることにつながるとうれしい」とあいさつ。お気に入りの作品として「コーンウォール地方のセント・ジョン村から望むハウモウズの入江」を紹介した。英国文化について多くの著書がある作家の林望さんも登場し、ターナーの魅力について「伝統を引き継ぎつつ、新しい表現で風景を描いた画家」と語った。
同展は12月18日まで東京都美術館、2014年1月11日〜4月6日に神戸市立博物館で開催される。前売りなど詳しくはハローダイヤル(03・5777・8600)、公式サイト(http://www.turner2013-14.jp/)へ。
■印象派を予告、躍動感ある色彩
国内での主要なターナー展は、これまで2度開催されている(1986年、97年)。今回は16年ぶりの大規模な回顧展になる。総出点数113点は過去最多で、9割は国内で初めて展示される。
ターナーは西洋美術史において、それまでアカデミーの主流だった歴史画と同じ地位に風景画を押し上げた。伝統的な画法にとらわれず、目に映ったイメージを大事にした画家で、躍動感ある色彩と光線が特徴的だ。後の印象派を予告する重要な役割を果たし、モネやマティスなど影響を受けた画家は多い。
夏目漱石も英国留学中にターナーの絵画を見ている。小説『坊ちゃん』では教頭の「赤シャツ」がターナーについて触れている。国内初展示となる「チャイルド・ハロルドの巡礼―イタリア」は、そのモチーフの有力な候補とされている。
作家の林望さんは「ターナーは普通の風景画に満足せず、非日常的な題材を求め続けた。虚構も採り入れて表現を刷新した。都市の工業化にも関心を寄せており、近代化とともに駆け抜けた人」と話している。
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■主な出展作品(かっこ内は発表年)
「バターミア湖、クロマックウォーターの一部、カンバーランド、にわか雨」(1798)
「スピットヘッド:ポーツマス港に入る拿捕(だほ)された二隻のデンマーク船」(1808)
「平和―水葬」(1842)
「ヴァティカンから望むローマ、ラ・フォルナリーナを伴って回廊装飾のための絵を準備するラファエロ」(1820)
「ヴェネツィア、嘆きの橋」(1840)
「ヴェネツィア、月の出」(1840)
「レグルス」(1828)
「湖に沈む夕陽(ゆうひ)」(1840―45頃)
「グリゾン州の雪崩」(1810)
「チャイルド・ハロルドの巡礼―イタリア」(1832)
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■開催概要
▽東京会場
会期 2013年10月8日―12月18日
会場 東京都美術館
観覧料 一般1600円(前売り・団体1300円)、学生1300円(同1100円)、高校生800円(同600円)、65歳以上1000円(同800円)
開室時間 9:30―17:30(金曜日は20:00)
主催 東京都美術館、テート美術館、朝日新聞社、TBS
お問い合わせ 03・5777・8600(ハローダイヤル)
▽神戸会場
会期 2014年1月11日―4月6日
会場 神戸市立博物館