【ストックホルム=伊東和貴】スウェーデン・アカデミーは11日、今年のノーベル文学賞を、中国の作家、莫言(モーイエン)氏(57)に授与すると発表した。授賞理由を「幻覚を伴ったリアリズムによって、民話、歴史、現代を融合させた」「西欧かぶれしていないユニークな作家。アジアの重要性が高まっていることの表れともいえる」と説明した。中国国籍の作家の文学賞は初めて。中国出身では、フランスに亡命した後の2000年に受賞した作家の高行健(ガオシンジェン)氏がいる。欧米のメディアなどで有力視されていた村上春樹氏は受賞を逃した。
授賞式は12月10日、ストックホルムである。賞金は800万スウェーデンクローナ(約9400万円)。
莫言氏は1955年、中国山東省高密県生まれ。本名は管謨業(コワンモーイエ)。85年に発表した「透明なにんじん」で注目を集めた。86年の長編小説「赤い高粱(コーリャン)」では、故郷を舞台に抗日戦争を描き、生命力に富む女性の造形が高く評価された。この作品を原作とした張芸謀(チャンイーモウ)監督の映画「紅いコーリャン」は88年、現実と幻想が混ざり合った魔術的リアリズムの世界が評価され、ベルリン国際映画祭グランプリを受賞している。