映画監督の若松孝二(わかまつ・こうじ、本名伊藤孝〈いとう・たかし〉)さんが76歳で亡くなった。東京都内で交通事故に遭い入院、容体が急変して17日午後11時5分に永眠した。ゆかりのある俳優や評論家が突然の死を悼んだ。
「キャタピラー」(2010年)に主演し、ベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受けた寺島しのぶさんは、公式ホームページに「心優しい監督、弱い者の味方で、強いものにはくってかかる監督、(中略)何よりも映画を作り上げることに執念を燃やした監督。今いったい、いったいどこにいらっしゃるんですか?」と記した。
映画評論家の山根貞男さんは「試写で会った時、『よく撮るなあ』と話しかけたら、『昔に戻ったんだよ』と言っていた。あんなに多作な監督はいない。まだまだ撮っただろうに……」。映画監督で京都造形芸術大教授の高橋伴明さんは「1970年代後半に若松プロダクションで映画を数本撮った。『金をかけていい映画を作るのは当たり前。金をかけずにいい映画を作るのが監督の仕事』と言われたことが印象に残っている。権力と権威に反抗する姿勢を当時からずっと貫いた。がんで何度かの手術を乗り越え、生き抜いてきたのに、交通事故で亡くなるとは残念です」と話した。