【編集委員・大久保真紀】戦前のプロレタリア文学運動を代表する作家で、「樹影」などで知られる佐多稲子(1904〜98)が戦争中に書いた作品が見つかった。「生きた兵器」と題された小説で、戦意を高揚させる内容。全集にも未収録で存在が知られていなかった。戦前から戦中にかけて転向し、戦後に自らの戦争責任を見つめた佐多の新資料になる。
「生きた兵器」は戦中に中国東北部(旧満州)で発行された「満洲新聞」に44年3月、全20回掲載された。400字詰め原稿用紙で100枚弱。離婚前の窪川稲子の名で執筆している。
44年の「満洲新聞」は日本に所蔵がなく、植民地文化学会の代表を務める元法政大学教授の西田勝さん(84)がこの夏、中国東北部の図書館で縮刷版のコピーを入手した。