DIALOG 日本の未来を語ろう :朝日新聞デジタル
2017/12/25

「男子のホンネ座談会」【前編】「働きたい系女子」のわたしが、今こそ「男子のホンネ」を聞きたかった理由

古野香織(POTETO)、呉本謙勝(POTETO)with 朝日新聞DIALOG編集部

〈司会〉中央大学4年 古野香織(POTETO)
〈構成・執筆〉慶應義塾大学4年 呉本謙勝(POTETO)×朝日新聞DIALOG編集部

11月下旬。都内某所。座談会に参加する男子メンバーが顔をそろえた。

超バリキャリ志向の就活生、大手損害保険会社の内定者、有名商社の1年目社員、そして理系の大学院生の4人。全員がまだ、20代前半である。やりがいのある仕事に、結婚や子育て……。これから人生の一大イベントが次々に控えている、「希望と可能性に満ちた」年代だ。

「女性活躍」の重要性が声高に叫ばれている。私・古野のように、結婚しても、出産しても、ずっとやりがいのある仕事を続けていきたい女子にとっては、歓迎できる流れではある。
だが、男性目線からの「ホンネ」はどうだろうか。果たしてバリバリ働きたい彼らは本当に、「女性活躍」を望んでいるのだろうか。

先日参加したGoogle Women Will×朝日新聞DIALOGのイベントで、こんな話題が挙がっていた。
「女性にとって働きやすい企業も、制度も、もちろん重要。
でも、最終的にパートナーの理解がなければ、『女性活躍』は実現し得ない」

なるほど、「女性だけが努力すればいい」のではない。
今後どれほど育休制度が充実しようと、保育園が無償化されようと、「パートナーの認識」の部分まで踏み込まなければ、結局、何も変えることができないのではないか。

「仕事優先? 家庭優先?」「育休は取りたい?」「働く奥さんって、ぶっちゃけどう思う……?」
普段はなかなか聞くことができない「男子のホンネ」について、まずは建前を取っ払い、思いっきりぶっちゃけてもらうことで、「働きたい系女子」としての有効な戦略を練ろう。

というわけで、私・古野の司会で、男子たちのリアルすぎる座談会を開催。その模様を、前編・後編の2回にわたってご覧いただく。
これからの未来を担っていく同世代(特に女子)には、ぜひ読んでほしい!

メンバー紹介

今回参加してくれたのはこの4人。(いずれも仮名)

①パトリック

ステータス:
慶應義塾大学3年。ロンドンの名門大学に1年間留学をしていたため、大学は4年目。父はイギリス人、母は日本人。日英双方の文化で育った。現在は、外資系投資銀行や総合商社を中心に就職活動中。超有能&超バリキャリ志向男子。

家庭環境:家族は両親と妹。自宅は東北地方にある。母親は自宅、父親はイギリス、妹は都内の私大の寮に住んでいるため、家族が集まることは比較的少ない(本人も大学の近くで一人暮らし)。家族仲は良く、特に父親とはジョークを言い合う仲。

備考:他大の後輩女子と交際中。交際期間1.5年。

②イッセイ

ステータス:
中央大学4年。大手損害保険会社に内定済み。大学時代は海外でのボランティア活動に携わったり、スポーツ系サークルを立ち上げたりと、超アクティブに過ごしていた。

家庭環境:家族は両親、妹、そして犬。実家暮らし。父親は転勤が多く、母親は専業主婦。母は自分と妹と仲がいい。母が家にいた環境が、自分の成長にとって非常に良かったと感じている。

備考:久しぶりに彼女のいないクリスマスを迎える。

③長谷部

ステータス:
大手総合商社に就職して1年目。慶應義塾大学卒。スポーツ一筋20年で、エネルギーやユーモアにあふれ、みんなから愛される体育会系男子。現在は会社のIT関連部門で、バリバリ働いている。

家庭環境:家族は両親、兄、そして犬。実家は都内だが、大学3年生から一人暮らし。両親からは最大限の愛情と教育費をかけて育ててもらったと感じており、心から感謝している。本人曰く、「学校や塾とスポーツの両立ができたのは、両親のおかげ」。

④ハカセ

ステータス:
東京大学大学院博士課程。宇宙の研究に従事する学者のタマゴ。観測や共同研究、学会発表で国内外を飛び回る一方、好奇心旺盛で、大学で始めた、とあるスポーツでは世界一になったという。

家庭環境:家族は両親と兄。実家は関西の田舎にあり、より広い世界を知りたいと、外に出てきたタイプ。高校時代は兄と二人暮らしをしており、今は一人暮らし。そのため、実家への執着はあまりない。「便りがないのは良い便り」とばかりに、あまり帰省もせず、東京生活を謳歌している。

Q:どちらかといえば仕事優先?家庭優先?

最初のカードはこちら

長谷部:仕事、ですね。僕がサッカーをやる理由と仕事をやる理由は同じで、それを通じて何かを成し遂げ、生きがいにしたいんです。だから、仕事が充実しないと私生活も充実しないし、家庭も充実しないんじゃないかな、と。まず仕事を考えてから、家族を考えたいです。

ハカセ:でも、子どもが生まれたら、仕事が生きがいという考え方も変わるんじゃないの?

長谷部:それは変わると思う。生きがいが仕事から子どもになることもあるんじゃないかな。

ハカセ:確かに、昔はとがってた教授も、子どもができてから丸くなったっていう話は多いですからね。めっちゃ怖かった教授が、「子どものためなら死ねるわ~」って言っていることもしばしば(笑)。生きがいっていうのは、「自分が何に対して幸せを感じるか」に結びついていると思うんですけど、自分の幸せのあり方が変わっていく中で、「仕事優先か、家庭優先か」も人生の中で変わっていくと思います。いま就活中のパトリックはどう?

パトリック:仕事優先ですね。もし子どもがいたとして、家庭優先で仕事をないがしろにしていたら、それってそもそも「家庭優先」じゃないような気がします。お金がなかったら家庭は維持できないのに、お金を稼ぐより、家庭を優先してしまうのは大きな矛盾です。僕は奥さんには家にいてほしいと思っているので、僕まで家庭優先だと、バランス的にマズいですよね。僕は家庭をとても大切に思っているからこそ、家庭を維持するための手段である仕事は大切にしたいです。

ハカセ:クリスマスの時に仕事が入ったらどうする?本来のゴールは家庭なんでしょ。

パトリック:可能な範囲で融通をきかせたいです。でも、その日に休んだら、自分の出世や立場が危うくなるようだと、さすがに厳しい部分もありますね。

イッセイ:優先ってすごく難しいんだけど。僕は、家庭を充実させたいから、仕事を頑張りたいです。今の就職先(大手損害保険会社)も、「どういう家庭にしたいか」から逆算して選んだので。お金も福利厚生もあって、結婚後は家族を家庭から支えたいと考える女性が多い会社を。結局、仕事を頑張るのは、家庭を充実させたいからなんですよね。お父さんは転勤族だったんですけど、専業主婦のお母さんは海外でヨガをやったり、お花教室に通ったり、自分の好きなことをやっていたんですよね。だから僕も、奥さんにそういうふうに好きなことをさせるのがいいんじゃないかなって思っています。

パトリック:長谷部さんも逆算して今の会社を選んだんですか?

長谷部:いやー。僕は「自分が何かを成し遂げるたい」という思いで仕事を選んだので、家族を考えて会社選びという視点はなかったですね。だから少しみんなとはギャップがあるので、みんなすげえ! って思います(笑)。

ハカセ:主語が自分ってこと?

長谷部:そうそう!

イッセイ:僕は野球やってたんですけど、バントですよ(笑)。

長谷部:それってすごくないですか? 自分の人生だけど、家族のために生きたいってことですよね。

イッセイ:家族というより、子どものために生きたい。

一同:ほえ~。

ハカセ:少なくとも今は、自分の人生の主役は自分でありたいと思ってるんで、子どもがいないのにそれは本当にすごいですわ。

長谷部:ですよね! たぶん僕も子どもができたらそうなると思うんですけど、なんで今からそこまで考えられるんですか?

イッセイ:僕、世界一のお父さんになりたいんですよ。

一同:クソモテそうだわ(笑)。

イッセイ:一番近い存在に憧れを持ってもらうのが、すごくいいなって思っていて。仕方なかったにせよ、お父さんが僕にあんまり時間を使ってくれなかったので、自分はもっと子どもと関わりたいなって思っています。

ハカセ:逆にほったらかしやったから、こんなスーパー内面イケメンができたんかもしれませんよ。

Q:どんな人を彼女にしたい?

続いての質問はこちら

パトリック:自分が一緒にいて誇りに思える人。街中を歩いていて、知り合いと会っても、堂々と「彼女です」って紹介できる人がいい。容姿は確かに大事ですけど、一定水準を超えていれば。その上で、性格や知性を探っていくイメージですかね。だけど、やっぱり一番は「誇れること」。その点では彼女と妻は変わらないかもです。

ハカセ:僕はいろんな世界を見たい! なので、自分と違うタイプの人ですね。

長谷部:じゃあ価値観とかは違うほうがいい?

ハカセ:そうですね。彼女であれば、永続的ではないので、単に私の知らない世界を知っているだけでもいいです。ただそれだと、知り尽くしたときには興味が薄らぎそうなので、結婚相手は根本の思考回路や感性が異なるほうが魅力的ですね。同じ風景を違う景色として見ているような。

長谷部:おもろいっすね(笑)。ガチ東大生はすごい。

ハカセ:(笑)。(いろんな人の世界を)「消費」していく感じですね。ただこのように(異なる世界を)「消費」的に求める姿勢は、本当の愛とはとても言えそうになく、このままではよくないなぁとは思うのですが(笑)。

長谷部:友達だとめっちゃ当てはまります。ずっとサッカーをやってきたからこそ、サッカーに関係ない世界の人の話を聞くとワクワクします。「お前おもろいなぁ~」って。
彼女だとすると……かわいくて胸が大きな人って言いたいですけど(笑)。
真面目に答えると、「賢い人」ですね。コミュニケーションがうまい人。例えば僕と彼女と友達が同じ空間にいるとき、みんなが気持ちよく会話できるように、周りを見ながらコミュニケーションできるのが理想です。その点では「誇れる人」に近いのかも。

イッセイ:めっちゃ分かりますわ。でも「彼女にしたい」っていう理想は、変わっていきません? 僕は元カノがこうだったから、次はこんな子と付き合いたいなっていう感覚なので。いま彼女にしたいのは、最後の学生生活を共にキャピキャピできる子かな。ギャルでもいい。バリ島とか一緒に旅行いきたいっすね(笑)。

Q:「共働き」についてどう思う?

前編最後の質問です。

ハカセ:働いてくれてOKです。僕は自分の人生を自分なりに楽しんでいるので、向こうも自分の人生の楽しみは自分で見つけてくれって思います。向こうの人生まで背負いたくないので、自分のやりたいことをやっている女性が魅力的ですね。

長谷部:子どもができたらどう?

ハカセ:子どもができたら、父方か母方の親に手伝ってもらいながら共働き、というのもありかなと思ってます。おじいちゃんやおばあちゃんは時間があるから、彼らに頼るってのもいいと思う。だから、相手の実家が地理的に近いかどうかは気になりますね。僕の実家は京都で、職場は東京だから、奥さんの実家は東京じゃないとしんどいかなぁ。

パトリック:僕は少し違います。子どもができるまではプライオリティは自分だと思うんですけど、子どもができたら「自分も、子どもも大事」になりますよね。何かしらの形で分担しないといけない。じゃあ男女どっちが子どもを見るのがいいかって考えると、年収が低いほうが家にいたらいいんじゃないかって思います。
あと、自分の子どものことをよく知らない保育士に育てられたくないって思っていて。幼少期という大事な時期だからこそ、家族で育てたいです。

ハカセ:でも保育士のほうがプロだよ。

パトリック:子どもの面倒をみるという点に関してはそうだと思います。けど、保育士は多くの子どもをまとめて世話する施設の人間に過ぎません。自分の両親は小さい頃から自分のことを考えて育ててくれました。だからこそ、子どもの成長スピードに合わせて、個性を伸ばせるような育て方を自分の子にもしたいです。

ハカセ:でもまあ、年収低いほうが家にいるっていうのは分かります。研究職は年収低めなので、じゃあ家で研究しとくわってなります(笑)。

イッセイ:子どもができた時が転機です。子どもができたら妻には家にいてほしいので……。おそらく僕が結婚する人は、そこまで仕事一筋な人ではないと思いますけど、「出産後も働きたい」って言われることが怖いです。

ハカセ:それはやっぱり自分の家庭環境から?

イッセイ:そうですね。僕はお母さんが家にいてめちゃくちゃよかったので、母親が家をしっかり見ていてほしいです。

司会:奥さんは仕事を辞めてほしいってこと?

イッセイ:絶対ではないですけど、子どもがある程度の年齢になるまではつきっきりでいてほしい。矛盾ですけど、奥さんには好きなことをやって輝いてほしい。でも家にはいてほしいです。

司会:子育てを好きでいてほしい?

イッセイ:そうです!

パトリック:でも、子育てが好きじゃないのに子どもを産む人がいるんですか?

司会:最初はみんな子どもが欲しいって思って産むんですよ。でも、子育ても仕事も頑張りたいって思っている女性の現実を知ってますか? 泣き止まない子どもの世話も、家事も、終わらない仕事も、全部自分でやることを求められてしまう。子どもは嫌いじゃなかったのに、そんな状態では嫌いになってしまう。そうした中で、うつ状態になってしまう人もいるんです。

パトリック:でも、子どもを持つということは責任を持つことですよね。

司会:その責任は、女性だけが持たないといけないんですか?

パトリック:いや、そうなってしまうのなら仕事やめるべきじゃないですか。

ハカセ:まぁまぁ。夜泣きで毎晩起こされたりして肉体的にしんどい中で、いろんなことが両立できなくなってしまったら、子どものことは「愛してるけど殺したい」みたいな感情が生まれることもあるらしくて。「そんな私は、ダメなお母さんなんじゃないか」ってうつになってしまう人がいるのは、ある意味、当然ですよ。

パトリック:でも、世の中って自分の好きなことだけできるわけじゃないですよね。仕事も子育ても好きだから、責任を持って両立させるって言ったのに、やらないのはダメじゃないですか。

ハカセ:自分自身で苦労を経験してないのに、それを言うのは……。

長谷部:めっちゃ考えたんですけど、分からない……。奥さんとの幸せを老後までしっかり考えると、絶対的に金が必要だなと。じゃあ2倍稼げる共働きのほうがいい、と今は思います。でも、子どもができて子育てにパワーをかけないといけないのなら、共働きじゃなくてどちらかが家にいたほうがいいのかも。だから、分からないです。 でも、自分のほうが年収低くても、僕は仕事をしていたい。わがままかもしれないけど、そんな状況なら、「じゃあ俺が頑張って、もっと稼ぐから!」と言って、奥さんには家庭を見てもらいたい。

前編は以上です。後編もお楽しみに!

後編はこちら

司会…古野香織/中央大学法学部4年。 大学2年時に有志サークル「Vote at Chuo!!」を立ち上げ、学内での選挙啓発や、附属高校での主権者教育を行う。「生の政治」を扱う主権者教育や、教科教育内での主権者教育実践などに関心あり。2016年にPOTETOに参加。2018年度から東京学芸大学大学院 教育学研究科に進学予定。

構成・執筆…呉本謙勝/慶應義塾大学法学部政治学科4年。専攻は国際関係論で、ワシントンD.C.留学中は米大学院で学生研究員を務めた。現地テレビ局でトランプ政権の報道に従事した経験から、メディアの情報発信方法に興味を抱く。帰国後、POTETOに参加。

POTETO…「政治を分かりやすく伝える」学生のチーム。2016年末に任意団体として発足し、2017年末に法人格取得予定。「リテラシーインフラの整備」をミッションとし、①日々のニュースや様々な社会トピックを、動画やイラストで伝えるメディア事業②社会課題をテーマにした出前授業を行う教育事業③NPOや政治家といった、ソーシャルな活動を行う主体の情報発信をサポートする事業などを展開。

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