DIALOG 日本の未来を語ろう :朝日新聞デジタル
2017/12/08

朝日新聞DIALOGセッション「働き方改革と女子大生のキャリア選択 ~仕事と子育ての両立が前提となる社会の中で~」 基調講演

朝日新聞DIALOG編集部

ニュースなどで「働き方改革」や「女性活躍」というワードを耳にしない日はないと言っても過言ではない今日このごろ。とはいえ、これから就活を迎える学生の多くは、理想の働き方を実践する社会人のロールモデルが身近におらず、キャリア選択に不安を抱えています。若者と共に2030年の日本社会を考える「朝日新聞DIALOG」編集部は、働き方改革に詳しいジャーナリストの白河桃子さん、女子学生のキャリア選択を支援する企業「manma」とセッションを企画。テレワーク月間である11月、働き方先進企業のGoogleが1カ月間限定で六本木に開設したテレワークラウンジを会場に、「働き方改革と女子大生のキャリア選択 ~仕事と子育ての両立が前提となる社会の中で~」というセッションを開きました。企業の人事担当者や大学生ら、約40人が参加したほか、ライブ配信された札幌市内のサテライト会場でも、参加者が耳を傾けました。

第1部・白河桃子さんの基調講演

11月24日に開かれたセッションでは初めに白河さんが、働き方改革と女性活躍支援の現状について講演しました。よく、真っ先に解決すべき課題を「一丁目一番地」と言いますが、白河さんは「女性活躍の面でも、働き方改革は一丁目一番地」と指摘。そして、女子大生から聞いたというエピソードを紹介しました。「就活の面接で、『仕事と家庭を両立できますか?』と聞きたいけれど、『ぶら下がり人間』だと思われてしまいそうで、怖くて聞けない」。白河さんは「制度があるなら使えばいい。『甘える』『悪用する』と思われたくないから忖度して聞かない、というのは、いかにも日本的」と指摘した上で、「『女性の活躍支援はどうなっていますか?』『男性はどう両立していますか?』と質問してみては」とアドバイスしました。

女性の働き方をめぐっては、「男性並みの24時間企業戦士」がモデルの時代から「両立制度の拡充期」へと移行し、ようやく最近、男性も含めた「長時間労働の見直し」という段階に到達しつつあります。白河さんは、女性が活躍できるための3要件として「長時間労働の是正と時間単位の成果に基づく評価」「年功制度、年次と仕事を結びつける働き方の見直し」「父親の家庭参画の推進」を挙げ、これらに先進的に取り組んできた企業や自治体では、女性管理職の比率や出生率、企業への就職希望者の増加といった良い影響がみられると指摘しました。

「働き方改革は、暮らし方改革でもあります。女性の社会進出と、男性の家庭参画はセット。そのためにも、社会全体で長時間労働を見直す必要があるのです」と白河さんは説明します。ちなみに、睡眠時間に関する国際調査では、男性の家事参加度が低い国ほど、女性の睡眠時間が短い傾向があり、日本の女性はこの調査で「世界一働いていて、世界一寝ていない」ことが分かったそうです。

では、どうやって労働時間を見直していくのか。世の中にはまだ、仕事の量や進め方は見直さず、単に「早く帰れ」と号令をかけているだけの会社も少なくありません。「カギは、企業のトップが人事評価と報酬制度、取引先との関係を見直しているかどうか。これらに着手して初めて、現場が仕事を『断る』ことができるようになるのです」と白河さん。

また、企業の変化のスピードについても興味深いコメントが。「社内の風土を変えるのに、45歳以上の社員が多い企業は1年半から2年かかります。40歳以下が多ければ、1年くらいですね」。また、企業が変わるためにマインドセット(意識)とアクションチェンジ(行動変容)のどちらから取り組むべきか、という問題については、「横並び意識が強い日本では、アクションチェンジが先だと思います」と語りました。

最後に白河さんは、公の場での喫煙などと同じように、今の働き方に疑問を持つ人が増え、「おかしいのでは」と声を上げていくことで社会は変わると指摘。「働き方改革という大義名分をチャンスとしてとらえ、自分の求める働き方を実現してほしい」というエールで、講演を締めくくりました。

第2部パネルディスカッションに続く

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