DIALOG 日本の未来を語ろう :朝日新聞デジタル
2017/10/18

日本の社会に必要なのは子育てを共有する意識 里親や養子縁組をテーマに研究 日本女子大学 林浩康教授

[PR]厚生労働省

さまざまな理由で実の親と暮らせない子どもを社会的に育てる「社会的養護」。この夏、厚生労働省が開催した検討会では、社会的養護が必要な就学前の子どもの75%以上を里親に受け入れてもらう、育ての親に親権が渡る特別養子縁組を倍増させていく、など新たな目標を掲げた。

「昨年の児童福祉法の改正で、親子分離される子どもたちに対して家庭養育を保障することが規定されました。今回はそれを数値化したということでしょう」

と、日本女子大学教授の林浩康先生。子どもが健やかに成長・発達するには、少なくとも一人以上の特定の大人と生活基盤を共有することが重要だという。 「家庭は、子どもたちが生きる力や、将来自立するために必要な力を蓄えるための大切な場所。それを実の親と暮らせない子どもにも提供しようという家庭養育制度が、里親と養子縁組です」

日本女子大学人間社会学部社会福祉学科 教授
林浩康さん

大阪府出身。北海道大学大学院教育学研究科後期博士課程修了。学生時代のボランティア活動をきっかけに、子ども・家族支援の研究の道へ。

欧米に比べ、これまでの日本では〝施設養護ありき〟だった。
「原因は、児童相談所の専任職員や里親を支援する民間機関が少ないこと、支援制度や財源不足など。それに受け皿となる里親や養子縁組先を確保できていない現実もあるでしょう」

登録する家庭を増やすには、リクルート方法の見直しも必要だと指摘する。
「社会的養護が必要な子どもの年齢や環境は多様でニーズも異なります。年齢が高ければ下宿のような形態の方が向いているかもしれません。子どもの年齢や地域を絞り、それにマッチングしそうな里親希望者にダイレクトにメッセージを送る方が登録数を増やすにはいいと思います」

そもそも、日本人は親が子どもの養育の全てを担わなければならないという価値観に縛られているのではないか、と林先生。 「それが里親制度の普及にも影響してきたように思います。子どもには、主たる養育者以外の多様な養育者によって育てられる経験が必要です。それは実家庭で育つ子どもにも言えます。まずは、子育てを社会で共有する意識を持つことでしょう」

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