DIALOG 日本の未来を語ろう :朝日新聞デジタル
2018/01/16

熊本地震から1年8カ月、いまの熊本を追う・前編~解体か保存か、揺れる城下町~

塚田耀太(Youth Action for Kumamoto) with 朝日新聞DIALOG編集部

Written By「Youth Action for Kumamoto」創設者
慶應義塾大学4年 塚田耀太

2016年4月に発生した熊本地震から、まもなく2年が経つ。めっきり報道が減ったこともあり、東京で暮らしていると、現在の熊本の様子はなかなか伝わってこない。

熊本がいま、直面している課題は何か。それを知りたくて11月下旬、現地を訪れた。

避難者はなお4万人以上、公費解体は年度内で完了見込み

2017年11月末現在、熊本県の避難者数は4万2000人を超える。益城町のテクノ仮設団地などの応急仮設住宅や、みなし仮設住宅では依然、多くの人が避難生活を送っている。

熊本市内の土木業者は、河川の災害復旧工事について「あと数年かかる見込みだ」と話す。また、熊本城の修復にも20年はかかるとされており、道のりは長い。

一方、地震で半壊以上の被害を受けた建物について、解体費用を行政に申請すると補助が受けられる「公費解体」は、来年早々に完了する見通しだと、前出の土木業者は語る。

解体か保存か、揺れる町屋

そんな中、熊本の城下町としての風情を残す「新町・古町エリア」の町屋が、解体か保存かの決断を迫られている。同エリアは、400年前の熊本城築城の際に造られた。1877年の西南戦争で焼失したものの、その後復興し、今もなお、「熊本のアイデンティティー」と位置づけられるエリアだ。

既に3割以上が解体済み

町屋の保存に取り組んでいる「くまもと新町古町復興プロジェクト」事務局長の吉野徹朗さん(41)は、「震災前と比較して、すでに3割以上が解体された」と語る。

ハードルとなっているのは、割高な修理費である。行政も3種類の補助金を用意しているが、それでも小さな町屋を修理するにあたっては、個人負担が数百万円、大きい町屋の場合は数千万円が必要になってくる。

このため、「新しく家を建てたほうがいい」「駐車場にすれば、お金にもなる」と、公費解体に流れていってしまう現状がある。

持続可能な町屋の保存を

「このまま町屋が減っていくと、城下町の風情がなくなってしまう」と、吉野さんは危機感をあらわにする。そして、町屋を保存するために、利活用する事業を進めたいと考えている。

具体的には、町屋を修理した後に、テナントで貸したり、イベントを開催したりして維持費を獲得し、持続可能な町屋の保存を目指そうというものである。

「この町のアイデンティティーを守るためには、町屋を残していかなければならない」。吉野さんはそう力強く語ってくれた。

熊本地震を乗り越えて、まちづくりの核としても、その重要さが再認識される町屋。まだまだ道のりは長いが、単なる復旧ではなく、「復興」に向かう一つの形が見えた気がした。

AUTHOR…塚田 耀太/1993年生まれ。慶應義塾大学4年。2012年、10代による10代のための10代ならではの活動を行う震災復興支援団体「Teen for 3.11」を創設。2016年、熊本地震に関する情報支援組織「Youth Action for Kumamoto」を立ち上げ、復興支援や災害対応を行う。

Youth Action for Kumamotoとは…
2016年4月の熊本地震の直後から「情報の集約と再発信」を目的とし、活動する組織。Facebook公開グループとGoogleマップを用い、給水や炊き出しなどの情報をまとめて発信してきた。Facebook公開グループには3400人が参加し、Googleマップは計342万回閲覧された。詳細は下記参照。
https://www.facebook.com/groups/1314441215239619/

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