2018/01/17

熊本地震から1年8カ月、いまの熊本を追う・後編~避難者4万人のいま~

塚田耀太(Youth Action for Kumamoto) with 朝日新聞DIALOG編集部

Written By「Youth Action for Kumamoto」創設者
慶應義塾大学4年 塚田耀太

2016年4月に発生した熊本地震から、まもなく2年が経つ。めっきり報道が減ったこともあり、東京で暮らしていると、現在の熊本の様子はなかなか伝わってこない。

熊本がいま、直面している課題は何か。それを知りたくて昨年11月下旬、現地を訪れた。

前編では城下町の現在を伝えた。
後編は、いまだ4万人以上が送る避難生活についてお伝えする。今の熊本は緊急支援の段階を過ぎ、長期化する避難者の生活をどう支援していくかが重要なテーマになりつつある。

みなし仮設で暮らす3万人の避難者

今回の熊本地震は、「みなし仮設」で避難生活を送る人が多いのが特徴だ。テクノ仮設団地などに代表されるプレハブ型の応急仮設住宅と違い、被災者向けに自治体が民間賃貸住宅を借り上げるものだ。みなし仮設は様々な場所に点在しており、支援がしづらい。2017年11月末現在、熊本県内で避難生活を送る約4万2千人のうち、約3万1千人がみなし仮設で暮らしている。

住まいの問題が解決する見通しは、なかなか立たない。2年間とされてきた仮設住宅の入居期限は、1年間延長されることになった。仮設住宅を出た後の住まいとなる「災害公営住宅」の整備にも時間がかかっている。被災者へのアンケートなどをもとに、県住宅課が昨年10月末に発表した資料によると、『災害公営住宅』の整備予定戸数は約1600戸。だが、同時点で設計や工事に着手しているのはまだ約480戸にとどまっている。

みなし仮設への訪問活動などを行っている一般社団法人「よか隊ネット熊本」の高木聡史さん(50)は、「行政の調査で『災害公営住宅』は必要な方への供給が足りていないことが分かった。用地選定がまだなど、整備の見通しが立っていないところもある」と話す。

大きくなる被災者への精神的負担

高木さんはまた、「一般的には、災害発生2年後から自殺率が上昇すると言われている」と指摘する。東日本大震災でも、そうした傾向がみられたという。みなし仮設の居住者は広域に点在しており、コミュニティー形成が難しい。また、支援をする訪問スタッフの手も足りず、支援が追いついていない状況がある。その結果、生活再建に役立つ行政情報が十分に伝わらなかったり、孤独死が発生する一因になったりするなどのことが懸念されるという。

先行き不透明な避難生活の長期化は、避難者の健康もむしばんでいる。高木さんによると、避難者の中にはアルコール依存症になる人が増えており、県精神保健福祉センターへの相談件数は震災前の3倍を超えるペースだという。

仮設住宅退去後も残る課題

また、仮設住宅を出た後も、問題は山積みだ。
「新しい場所になじむための、アフターフォローが必要になる」と、高木さんは語る。避難生活中に病気を患ったり、家族を失ったりした人にとって、新しい場所で一から生活を立て直す負担は、金銭的にも心理的にも非常に大きい。

長引く避難生活で、支援する側の疲労もたまっている。高木さんは「スタッフの健康状態や支援が追いついていないなど、課題は多いが、今後も『よか隊ネット』で支援を続けていきたい」と語る。

被災者の生活再建への道のりはとても長い。また、支援する側のケアもしながら、長期的に支援を続けていくための体制づくりが今、求められている。

復興は道半ば。真に復興が成し遂げられるのは、避難生活を送る人々が日常を取り戻す時だ。

AUTHOR…塚田 耀太/1993年生まれ。慶應義塾大学4年。2012年、10代による10代のための10代ならではの活動を行う震災復興支援団体「Teen for 3.11」を創設。2016年、熊本地震に関する情報支援組織「Youth Action for Kumamoto」を立ち上げ、復興支援や災害対応を行う。

Youth Action for Kumamotoとは…
「情報の集約と再発信」を目的とし、16年4月の熊本地震発生直後から活動する組織。Facebook公開グループとGoogleマップを用い、給水や炊き出し等の情報をまとめ、発信。Facebookグループには3千人以上が参加し、Google マップは計342万回閲覧された。FacebookグループのURLは
https://www.facebook.com/groups/1314441215239619/

pagetop