2018/03/28

なるほど納得なアイデア続出
「第1回 大学SDGs ACTION! AWARDS ~共想が創る未来社会へ~」最終選考会
現場リポート
来年は私もオリジナル企画で挑戦します!

Written by 古野香織(POTETO)with 朝日新聞DIALOG編集部

大学SDGs ACTION! AWARDSとは

国連は貧困や格差、環境など17分野で2030年までの達成を目指す「持続可能な開発目標(SDGs)」を掲げています。この目標達成へ向けて活動する大学生らを集めた「第1回 大学SDGs ACTION ! AWARDS」(朝日新聞社主催)の最終選考会が3月10日、東京・有楽町で開かれました。当日登壇したのは、95件の応募の中から1次選考を通過した9チーム・個人の学生プレゼンターです。SDGsの達成にかける熱い思いやユニークなアイデアを、堂々としたプレゼンでぶつけました。当日の現場リポートをお届けします!

開会挨拶・企業プレゼンテーション(第1部)

初めに朝日新聞社の渡辺雅隆社長から、大学生らに向けて開会の挨拶がありました。

「SDGsが目標に掲げる2030年になるとき、みなさんはこの社会を主体的に担っていく存在、すなわちSDGsを推進する上での主役だと思っています」

続いて、今回のアワードに特別協賛している住友金属鉱山の浅井宏行さんが「SDGsと住友金属鉱山のCSR」、日本航空の亀山和哉さんが「JALグループにおけるSDGsの取り組み」を紹介しました。

学生プレゼンターによる発表(第2部)

第2部では、選考委員の紹介の後、いよいよ学生プレゼンターによる発表に移ります。

1番目の学生プレゼンターは、高松奈々さんと篠原千咲さんです。
高松さんは慶應義塾大学大学院で政治・教育・ジャーナリズムなどについて学ぶかたわら、お笑い芸人としても活動しています。2人が所属する笑下村塾では、「若者に社会問題をもっと身近に感じてほしい」という思いから、これまで約2万人に出張授業を実施。SDGsを題材にしたカードゲームの普及や、芸人100人を巻き込んだ授業など、若者たちが楽しく学ぶためのアイデアを提案しました。

2番目の学生プレゼンターは、髙橋優子さんです。
野生の鳥獣による農作物などの被害が全国的に拡大し、生態系が破壊されることに危機感を持っている髙橋さんは、捕獲の担い手であるハンターが年々減少するなか、これからの野生動物マネジメントには、市民の幅広い参加が必要だと指摘。自らが所属する「狩猟同好会Revier Jagt」の活動として、地元・徳島県で鹿肉などを使用した「低価格で、でも高品質で、徳島らしい」ジビエ商品を開発したり、クラウドファンディングを使って広報したりすることで、この課題に対する理解と協力をより多くの人から得られる、と話しました。

3番目の学生プレゼンターは、尾川達哉さんです。
尾川さんのプレゼンテーションは、一本の動画から始まりました。登場するのは、難病を患う母と暮らす女子高校生。血縁関係のない多くの人々の支えによって、彼女の人生は充実しているといいます。この親子との出会いから、尾川さんの「もう一つの家族バンク」のアイデアが生まれました。日本では障害基礎年金を受給していると児童扶養手当を同時に受給することはできません。ところが、児童扶養手当受給者リストがひとり親家庭リストとして使われているため、親に障害のあるひとり親家庭は、ひとり親家庭向けの民間サービスを受けられないそうです。支援者コミュニティーを形成し、病気や障害を抱えてしまったひとり親家庭の子どもたちを中長期的にサポートする新しいシステムによって「leaving no one left behind(誰一人取り残さない)」な社会を実現できると提案しました。

4番目の学生プレゼンターは、阿部信吾さんです。
自らが所属する「秋田キャンパスネット」の活動の一環で、カンボジアの廃棄物最終処分場を訪ね、劣悪な労働環境下で働く「ウェストピッカー」(=廃棄物の中から換金できるものを拾って暮らす人)の存在を目の当たりにしました。ウェストピッカーを組織化して廃棄物管理システムの正式なアクターと位置づけ、リサイクル資源が増えれば、経済成長著しい東南アジアの廃棄物処分場不足とウェストピッカーの貧困という二つの問題を同時に解決することができるのではないか、と阿部さんは考えています。そうした活動の基礎となる調査を現地でしたいと話しました。

5番目の学生プレゼンターは、齋藤元文さんと酒井彩乃さんです。
2人が所属する「Energy for All」は、持続可能なエネルギーを日常生活の中で生み出し、光を届けることを目標として活動しています。プレゼンテーション当日が3・11から7年となる日の前日だったこともあり、日常生活で生まれたエネルギーは災害時にも利用できると話しました。エネルギー源として目をつけたのは、なんとトイレットペーパー。「トイレットペーパーを1ロール消費するには約264回転する。これを発電機として利用し、持続可能なエネルギーを生みだそう」というアイデアです。3Dプリンターを使ってトイレットペーパーホルダーに取り付けられる小型の発電機を作れば、一般家庭でも実用可能となり、ニーズも高いとアピールしました。

6番目の学生プレゼンターは、ワイバ・ゴビンダさんと喜來大智さんです。
2人が所属する「自然サークルSDGs」は、アジアからの留学生と日本人学生からなるグループです。まずは学生に向けてSDGsの広報活動や、SDGsについて学べる場づくりから始めたいと話しました。
そして長期的な活動として、現在使用されていない学内の施設をエコハウス化することを目標に掲げました。「青森で実践したことを、5年後には母国ネパールで実行したい」とゴビンダさんは語りました。

7番目の学生プレゼンターは、切田澄礼さんです。
所属する「Sustainable Week実行委員会」は、少しでも多くの人がSDGsのことを知り、行動に移してもらうことを目標に活動しています。昨年、大学内で実施したSDGs体験型イベント「Sustainable Week」をさらに発展させるため、世界中で食べられているカレーと、異なる宗教や文化を掛け合わせた「SDGsカレー」を開発して参加者にふるまい、キャンパスのある滋賀県草津市の土産物として販売するというアイデアを提案しました。食べることを通じて宗教観の違いなどを学び、SDGsについて多くの人に知ってもらうことが狙いだと話しました。

8番目の学生プレゼンターは、楯和馬さんです。
所属する「POMk Project」は、一般の人の健康、医療に関する知識を底上げすることを目指す医学生のグループです。医学の専門家ではない人が、人体について幅広い知識を持つことで、生活習慣病の予防など、医療現場における多くの課題解決につながると考えています。ペットボトルなど身近にある素材で、臓器の仕組みなどについて学べる模型を開発。まずは小学生向けに「人体や健康に関する体験教室」を開催し、社会全体の健康増進につなげていきたいと提案しました。

9番目の学生プレゼンターは、戸簾隼人さんと森田崇文さんです。
2人が所属する「EDGE SPROUT」は、「子どもの自転車事故ゼロの安心・安全なまちづくり」を目標にしています。プレゼンテーションでは、事故防止機能と情報発信機能をもつIoT自転車の開発を提案しました。ブレーキから指が離れるまでの時間に着目して独自開発した「ANSHiNブレーキシステム」を大手自転車メーカーに販売したり、搭載した自転車から得られたビッグデータをIT企業や警察、行政に提供し、危険区域を可視化したりするなど、安心・安全なまちづくりを実現するための具体的なビジネスモデルを説明しました。

以上が、当日、学生プレゼンターが発表したアイデアです。
9チーム・個人のプレゼンテーションが終了し、いよいよ選考委員による最終審査に移ります。
また今回は、参加者の当日投票によって選出される「オーディエンス賞」も設けられ、多くの参加者がもっとも良かったと感じたアイデアに投票しました。

ワークショップの開催

審査中の会場では、レゴブロックを使った他者との対話を通じてSDGsの目標について考える「SDGs×LEGO®SERIOUS PLAY®」、直径1㍍ほどの円形の段ボールを膝の上に置いてテーブル代わりにし、そこに直接意見を書き込みながら参加者同士がディスカッションする「SDGs×えんたくんミーティング」という二つのワークショップが行われました。各テーブルは大いに盛り上がっていました。 また、NTTドコモの福田由美さんと青木典子さんが「For ONEs –自分らしさを発揮できる社会をめざして-」と題したプレゼンテーションを行いました。

受賞者の発表

イベントの最後に、「第1回 大学SDGs ACTION! AWARDS」の受賞者が発表されました。
受賞したのは、以下のみなさんです。

〇グランプリ
『宗教の違いを超えて食べることができるSDGsカレーの開発』 Sustainable Week実行委員会(立命館大学)

〇住友金属鉱山賞
『東南アジアの都市鉱山ビジネスの調査』
秋田キャンパスネット(秋田大学など)

〇NTTドコモ賞
『ジビエ・ビジネスで里山の生態系を守る! クラウドファンディングによる新たな市民参加』
狩猟同好会Revier Jagt(徳島大学)

〇北海道下川町賞
『大学の森林資源の活用と大学施設のエコハウス化』
自然サークルSDGs(青森大学)

〇オーディエンス賞
『ひとり親の障害を子どもの障壁にしない「もう一つの家族バンク」創設』
東京大学 尾川達哉

〇審査員特別賞
『小学生を対象とした人体や健康に関する体験教室の開催』
POMk Project(福島県立医科大学)

このイベントに参加した感想

「SDGsの実現って、こんなに多様なプロセスがあったのか!」と終始驚きの連続でした。
国連に加盟するすべての国が、2030年までの達成を目指すSDGs。その17の目標を初めて聞いたとき、あまりに壮大すぎて「果たして自分にできることがあるのだろうか」と感じてしまったのが、正直なところでした。しかし今回、同世代の学生プレゼンターからSDGsを達成するための多種多様なアイデアを聞き、自分の関心分野とSDGsをうまく結びつけることで、多くの人々を巻き込みながら社会に強いインパクトを与えられることを知りました。次回は、ぜひ私もオリジナルのアイデアで挑戦してみたいです!

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