DIALOG 日本の未来を語ろう :朝日新聞デジタル
2018/04/10

〈U25連続セッション〉「2030年の役割分担 政治、教育、医療、裁判……人とAI、どちらに任せますか?」

Written by 呉本謙勝(POTETO)with 朝日新聞DIALOG編集部

テクノロジーの進化、グローバリズムの広がり、人口減少――。東京五輪を経た2030年の日本社会は、どんな姿になっているのだろうか。

3月7日夜、朝日新聞東京本社で、2030年の社会を担う人材に求められるスキルを考える公開勉強会が開かれた。これは、朝日新聞DIALOGが主催する連続セッション「U25が考える 2030年に求められる人材とは」の第3回として開催され、学生起業家や若手社会人など15名の若者がディスカッションに参加し、20人ほどの大人たちが聴講した。

城山英明・東京大学公共政策大学院教授は基調講演で「いい意味でも悪い意味でも、技術は思わぬ使われ方をされることがある。技術の中身より、それがどのように社会で使われていくのかを、あらゆる側面から評価する姿勢が大事」と語った。その後、参加者で活発な議論が交わされた。

連続セッションは1月からテクノロジー分野の専門家を招き、日本の未来を担うU25の若手世代とともに、2030年視点から社会課題を議論してきた。複数回のセッションを行った後、議論をまとめた提言書を公開することも予定している。

元々、政治学が専門の城山教授。「AIに政治はできるのか?」というトピックについて、「世の中すべてのことを熟議で決めることは現実的ではない。複雑な意思決定や、極めて人間的な付き合いが求められる政治の世界は『人間に残された最後の領域』だと言われることもある。ただ、予算編成のように毎年発生する定型的な政治活動もあるので、過去の膨大な政治判断をAIに学習させることで、代替できることもあるのではないか」と指摘した。

参加者からの「ロボットに人権が与えられるか」という質問には、「ペットのような愛着のある存在が人権に近い扱いを受けていたり、以前は『人』と認められていなかった奴隷が人権を持つ存在として解放されてきたりした歴史もある。具体的にどこまでかわからないが、モノや道具に対する敬意が強い日本においては、ロボットやAIにも(人権と同等ではなくとも)何らかの人格を持つものとしての配慮がなされていく可能性は高い」と語った。

また、城山教授は「AIにはできないこと」として、「前例のない意思決定」を挙げ、「データの蓄積から最適な判断を下すことはできても、初めてであう事態に対処するのは、やはり人間のほうが得意かもしれない」と述べた。

その後に行われたディスカッションでは、2030年におけるヒトとAIの役割分担に関して活発に意見が交わされた。

参加者にはセッション前に「ヒトに任せていたことを機械(やAI)に任せることが増えていく未来において、ヒトと機械(AI)のどちらに任せたいこと、自分自身でやりたいことは何か」を答えてもらった。回答は、写真のような結果となった。

この中で「政治は誰が担うべきか」という問いは意見が分かれ、議論は活発化。「政治による意思決定の結果は、自分に対して強制力を及ぼすことになるからこそ、自分でやっていきたい」という意見が出た一方、「今もすでに(秘書や官僚が)データに基づいて政治的な意思決定をしているのだから、AIが判断しても変わらないのではないか」という参加者もいた。

また、「学習したデータによってAIが下す判断が変わってくるからこそ、どのデータをAIに覚えさせるかという人間の判断が重要。様々な種類のAIができてくるのではないか」という意見が出た際、多くの参加者や聴講者がうなずく場面が見られた。

他にも介護や教育、ひいては食事や趣味の世界まで幅広く「人とAIの役割分担」が話し合われ、残っていくところとしては「人間の本能的な部分」や「どこか感情的に判断するもの」ではないかという結論となった。

次回セッションの講師はソニーコンピュータサイエンス研究所の北野宏明所長。近日公開予定。

朝日新聞社は、社会実装フェーズにある人工知能を中心としたテクノロジーの可能性について考えるイベント「朝日新聞DIALOG AI FORUM」を5/20~24の5日間にわたり開催します。
「テクノロジー」「ビジネス」「社会課題」に架橋するキーパーソン、フロントランナー、アントレプレナーに多数登壇していただきます。
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【登壇者プロフィール】
城山英明・東京大学公共政策大学院教授
東京大学政策ビジョン研究センター センター長。1965年生まれ。東京大学法学部卒、東京大学大学院法学政治学研究科教授、東京大学公共政策大学院院長を経て、現職。専門は、行政学、国際行政論、科学技術と公共政策。

【コアメンバープロフィール】
●新居日南恵(司会)子育て家庭に学生を派遣し、生き方のロールモデルに出会う「家族留学」を実施する(株)manma代表取締役、慶応大大学院在籍中。
●横島志城 元バーの店長。
●石黒和己 全国の高校生に、授業や放課後を通じて好奇心やアクションから学ぶプログラムを提供しているNPO法人青春基地代表理事。東京大学教育研究科在学中。
●喜多恒介 コミュニティを通じたソーシャルイノベーション創出を手がける株式会社キタイエ代表取締役。慶応大学大学院在学中。「トビタテ!留学JAPAN」の立ち上げに関わる。
●秋月良樹 立命館大学工学部4年。電子情報工学を専攻中。フォトグラファー。

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