DIALOG 日本の未来を語ろう :朝日新聞デジタル
2018/06/12

宇宙開発、キャッシュレス社会を支えるAIと注目される中国におけるAI最新事情
AIフォーラム DAY1 講演ダイジェスト

朝日新聞DIALOG編集部

社会実装フェーズにある人工知能を中心としたテクノロジーの可能性について考える「朝日新聞DIALOG AI FORUM 2018」が5月20日から5日間にわたって開催されました。初日には、AI研究の現状と課題や、実装後の社会を俯瞰した講演に加え、宇宙開発やキャッシュレス社会、中国の最新AI事情といった注目度の高いテーマも取り上げられました。各セッションの概要をリポートします。

宇宙を人類の生活圏に ~日本発の民間月面探査への挑戦~

この日の第4セッションに登壇した株式会社ispace代表取締役の袴田武史さんは、宇宙開発に携わるかたわら、人類初の月面探査レース「Google Lunar XPRIZE」に日本から唯一参加したチーム「HAKUTO」を率いました。「人間が宇宙に行って豊かになるために、宇宙経済圏をつくりたい。最初の産業として資源開発を目指す」と同社のビジョンを説明。「地球はすでにレッドオーシャン。地球から抜け出すためのエネルギーコストを削減し、様々な宇宙事業を拡大して、産業をつくる」と話しました。

月には数十億トンの水が存在し、水素と酸素に分解することでエネルギーに変えることができるとのこと。AIは、そうした月面資源開発のための探査に取り組む「ローバー(探査ロボット)」の自動走行やメンテナンスにも役立つことが期待されているそうです。

現金よ、さらば -キャッシュレスがもたらす社会変容-

第5セッションには、株式会社インフキュリオン・グループ代表取締役で、一般社団法人Fintech協会代表理事会長の丸山弘毅さんが登壇しました。経済産業省の検討会では、2015年時点で18%にすぎないキャッシュレス決済を、2025年に40%、将来的には80%にすることを目指していることを説明。「現金での決済にかかる社会的コストは、可視化されているだけでも1兆円以上あり、キャッシュレス化によるメリットは大きい」と指摘しました。

「『Amazon GO』などレジのない店舗がすでにオープンしていますが、こうしたキャッシュレス化を支えているのがAIによる認証技術の進化」と、その仕組みを紹介。中国のAlipayの事例を挙げ、その人の消費行動データを踏まえてAIが与信まで行うなど、キャッシュレス化がもたらす社会変容の可能性を例示しました。さらに、「これからのお金には、数字ではない文脈を持たせることが重要」との持論も展開しました。

AI大国を目指す中国の動向と課題

第6セッションでは、株式会社富士通総研経済研究所で上級研究員を務める趙瑋琳さんが、イノベーションが進む中国のAI事情について講演しました。いま中国では「中国製造2025」が掲げられ、デジタル化・スマート化が推進されているそうです。その理由について、趙さんは「中国でも少子高齢化が進み、これまでのような潤沢な人材を生かした産業モデルは成り立ちません」と解説しました。

2015年10月に示された第13次5カ年計画で「イノベーションによる発展」が初めてうたわれました。2016年のGDPのうち、デジタル経済は3割を占めているとのこと。中国ではAI投資ブームが起こり、世界最大の73億ドル規模の投資を行った結果、交通やサービス、医療、金融の分野を中心にベンチャー企業の参入が相次いでいるそうです。「7億人以上がインターネットやスマホを活用する中国では、AI人材の育成が急がれる一方、AIの普及によって職を失った人たちへの再就職支援が課題となっています。国家戦略としてAIを推進し、AIエコシステムづくりを目指しています」と、今後の可能性や課題にも触れました。

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