DIALOG 日本の未来を語ろう :朝日新聞デジタル
2018/07/03

現場へのAI導入のコツ、最新のAIトレンド、AIによる需要創造の可能性
AIフォーラム DAY2 講演・討論ダイジェスト

朝日新聞DIALOG編集部

5月20日から5日間にわたって開催された「朝日新聞DIALOG AI FORUM」。2日目は、自動運転技術を社会に実装する際の課題や、AIを現場に導入する際のヒント、注目されているAI技術や、AI活用の新たな可能性といったテーマについての講演・討論が続きました。その概要をリポートします。

従来の勘・経験にAI活用の勘・経験を融合した「現場力2.0」

「日本の企業では、AIの機械学習すら実際のビジネス現場で活用できていないのが現状」。「AIを現場に導入する壁とその超え方」と題して講演した滋賀大学データサイエンス学部の河本薫教授は、大阪ガスで現場へのAI導入に尽力した経験を踏まえ、そう指摘しました。日本企業が、現場にAIを導入する際に生じる困難を克服するには、技術者や職人の勘や経験に、AIを活用するうえでの勘や経験を融合した「現場力2.0」を目指すことが大切だと説きました。

現場にAIを導入する際の失敗としては、「問題設定の誤り」「分析結果を理解してもらえない」「現場で使ってもらえない」の三つがよくあるとのこと。それを解決するには、現場に「AIを使って何をすればいいか」を聞くのではなく、「あなたの仕事を教えてください」という姿勢で臨むべきだそうです。AIを扱う分析者には、現場の業務を細部まで把握したうえで、自分の頭でロールプレイングすることが求められると話しました。

ベンチャーキャピタルが教えるAI導入で失敗しない方法

「ベンチャーキャピタルが注目するAIトレンド」と題したセッションでは、モデレーターにディップ株式会社の進藤圭・次世代事業準備室dip AI.Lab室長を迎え、ベンチャーキャピタル3社による討論を通じて、AIの先端企業と最新のトレンドをキャピタリストの目線から伝えました。

個々の企業がAIトレンドにどう対応していけばよいかについて、Hike Ventures,LLCの庄子尚宏ジェネラル・パートナーは「まずはどういうプロダクト、サービスがあるかを知り、自社で使えるかどうかを検討すべきだ」と話しました。また、ウォンテッドリー株式会社の吉田祐輔取締役・CFOは「これまであった他の技術と同様に、AIも気づかないうちに浸透していく。その際に大切なのは、すべてにAIを適用することを目指すのではなく、必要なシーンを見いだしていくこと」と指摘。株式会社ディープコアの仁木勝雅代表取締役社長は「AIを導入するかしないかという議論ではなく、どういう課題があり、どう対処するのかを考える必要がある。AIはそのための手段の一つととらえ、専門家と協業するのがいい」とアドバイスしました。

消費者発想から生活者発想へ転換し、新たな需要を掘り起こす

人口減によって、今後、マーケットが縮小していくことは必至です。「“生活者発想”でのAI活用について」と題したセッションに登壇した株式会社博報堂DYホールディングスの青木雅人マーケティング・テクノロジー・センター室長は、人口減社会において「AIは効率化や最適化に活用されているが、需要創造はできないのだろうか」と問いかけました。

対談相手の株式会社NTTデータの林田敏之ライフデジタル事業部長によれば、この10年でデータ量は9万4000倍に。「スマートフォンが普及し、個々の行動把握ができるようになった結果、今後は“生活者発想”という視点が求められる」と指摘しました。生活者という概念は消費者より広く、自社の顧客がどんな商品を買っているのかというデータにとどまりません。「どんな広告を見て、どのようなライフスタイルで生活しているのか、というパーソナルデータにまで注目する必要がある」と説明しました。

それを受けて、青木さんは、「生活者発想に立つためには、部署間や企業間でデータ連携を行うことが重要となる」と強調。「個人情報保護の観点から、安全なデータ連携のためのプラットフォームをいかに構築できるかがカギとなる」と話しました。

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