同性婚が認められる世界を巡る旅へ
女子大生カップルが冒険プロジェクトに込めた思いとは

朝日新聞DIALOG編集部

宇都宮大学に通う同性カップルが、同性婚が認められている(および来年には認められる)26の国と地域を訪ねてウエディングフォトを撮影する「26回、結婚式」というプロジェクトを計画しています。ドレス姿の大瀧真優さんとスーツ姿の河崎美里さんは、ともに大学3年生。来年春に1年間休学して出発し、撮った写真はSNSで発信する予定です。12月21日夜に朝日新聞DIALOGが開催するセッションにも登壇する2人に、プロジェクトに込めた思いを聞きました。

結婚したい、でもできない。それが旅の出発点

Q.どんなきっかけで、このプロジェクトを始めたのですか?

河崎:付き合って半年以上が経ったころ、結婚を意識するようになりました。でも、日本では私たちは結婚できない。そんな話をしているなかで、世界一周したいと言っていた真優が、このプロジェクトを企画しました。

大瀧:日本でも同性婚を認めてほしい、というのが私たちの一番の思いですが、それを言葉で伝えるよりもビジュアルで発信したいと考えて、ウエディングフォトを撮ることにしました。写真は見る人に判断がゆだねられるので、感じ取ってもらえたらいいなと思っています。

栃木・日光で撮影したウエディングフォト。左が大瀧さん、右が河崎さん

Q.ドレスを着るか、スーツを着るかは、どうやって決めたのですか?

河崎:お互いに着たい服を着た結果です。私は、性自認は女性で、同性を好きになるレズビアンだと自覚しています。でも普段スカートははかないし、ボーイッシュな格好でいることに自分らしさを感じています。だから今回も、自分らしい格好はドレスよりスーツ。でも、スーツ姿の自分に100%満足しているわけでもありません。結婚式では女性がドレスで男性がスーツというイメージがありますが、私は女性なので。今は、男性ではない自分がスーツを着ていることに道行く人が違和感を抱き、それがセクシュアリティーについて考え始めるきっかけになったらいいなと思っています。

大瀧:私は性別に関係なく人を好きになるパンセクシュアルです。性自認は女性で、スカートも嫌いじゃないので、ウエディングドレスを着ることは自然な流れでした。ドレスは高価なものではありませんが、購入資金は「polca」というフレンドファンディング(友人間の資金調達)で集めました。

資金集め、人脈づくり、出発までにやることがたくさん

Q.出発に向けて、今はどんな準備をしていますか?

大瀧:一番の課題が、資金集めです。自己資金もためてきましたが、2人合わせて約400万円の旅費の大部分は、クラウドファンディングなどでこれから募る予定です。企画書を持って、企業や団体などもまわっています。今は私たち2人だけで活動しているので、撮影や動画編集が得意な人など、プロジェクトを一緒に進めてくれる仲間も増やしたいです。

あと、行く先々で話を聞かせてくれる人とのネットワークづくりも進めています。11月に2人で台湾に行って、同性婚をめぐる住民投票を見てきたのですが、そのときは人づてに台湾で暮らす同世代の3人と会うことができました。投票は、民法での同性婚反対が過半数という残念な結果でしたが、現地で会った1人は「今回の投票は難しすぎて、自分の頭で考えて投票したというより、知人やメディアの影響を受けて投票先を決めた人が多かったのでは」と話していました。こんなふうに、ただ街を歩くだけじゃなくて、各地のリアルな声を聞ける機会を増やしたいです。

台湾の台北当代芸術館で撮影。左が河崎さん、右が大瀧さん

Q.とくに行ってみたい場所や、話を聞いてみたい人はいますか?

河崎:結婚するために外国に移住した日本人のLGBTカップルに、なぜその国を選んだのか、どんな暮らしをしているのかを聞いてみたいです。実際に、会う約束をしている人たちも何人かいます。

いつかLGBTが世の中の「普通」になるように

Q.このプロジェクトに込めた思いを、改めて聞かせてください。

河崎:やるって決めた理由の一つは、これをきっかけにカミングアウトできると思ったからです。私は大学に入ってから自分のセクシュアリティーに向き合うようになって、悶々として苦しい時期も過ごしました。でも、自分がレズビアンだと認識してからは、それを隠したいというよりも、分かってほしいという気持ちのほうが強かった。今は、こうやって活動している自分が、以前よりも素直に生きていると感じます。そういうことも発信していくことで、世間のLGBTを見る目も変わるかもしれないし、LGBTの人たちにも何かを伝えられたらと思っています。

大瀧:LGBTの話題は専門家や当事者の間でしか語られていなくて、不特定多数への発信が今まであまりなかったと感じています。だから、LGBT以外の人も巻き込んだ発信をして、新しい流れをつくりたい。かっこいい言葉になってしまいますが、革命を起こしたいです。それでいつか、LGBTが世の中の「普通」の一つになるといいなと思います。一方で、自分の中にも無意識の差別や偏見があるような気がしています。今までの自分の生活圏を出て、いろんな国を訪ねるなかで、新しい気づきや発見を得て、自分の中の差別や偏見もなくしていきたいです。

来春の出発に向けて準備中の大瀧さん(左)と河崎さん。写真はすべて、おふたり提供

「セクシュアリティーの軌跡」をテーマに議論します

朝日新聞DIALOGでは、平成の30年間をさまざまな角度から振り返り、次の時代の社会のあり方について議論する連続セッションを開催しています。第5弾は「セクシュアリティーの軌跡」をテーマに、日本文学研究者のロバート・キャンベルさんやLGBTアクティビストの増原裕子さんらを招いて12月21日に開催します。平成世代として、LGBTに関する情報発信などをしている松岡宗嗣さんとともに、大瀧さんと河崎さんも登壇予定です。ぜひお越しください。

朝日新聞DIALOG連続セッション 平成世代が考える「平成30年」の先の未来
第5弾 〜セクシュアリティーの軌跡〜
【日時】2018/12/21(金) 18:30 ~ 21:00
【場所】朝日新聞東京本社 本館2階 読者ホール (東京都中央区築地5-3-2)
【参加費】無料
【申し込みはこちら】https://eventregist.com/e/heisei5

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