DIALOG 日本の未来を語ろう :朝日新聞デジタル
2020/03/17

大学SDGs ACTION! AWARDS 受賞者リポート④九州国際大学 車いすユーザーのための海外旅行「ペガサス・ボヤージュ」
モニターツアー

Written by 徳永亮太、衛藤羽篤、新井悠人、遠藤廉(九州国際大学現代ビジネス学部地域経済学科3年 福島規子ゼミナール所属 チーム「アプロフォンディ」)
奄美大島のサトウキビ畑で。左から遠藤、衛藤、徳永、新井

「大学SDGs ACTION! AWARDS」は、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて活動する学生や若手研究者を対象とした、朝日新聞社が主催するコンテストです。今回は、2019年2月に行われた第2回の受賞者の活動報告をお届けします。「車いすユーザーのための海外旅行『ペガサス・ボヤージュ』モニターツアー」で、スタディーツアー<瀬戸内町×JAL>賞を受賞した、九州国際大学(北九州市)の学生たちによるリポートです。

車いすユーザーにも楽しんでもらえる旅行を

私たちは、現代ビジネス学部の福島規子教授(観光学)のゼミに所属する、チーム「アプロフォンディ」のメンバーです。アプロフォンディとは、フランス語で「徹底的な」という意味です。観光ビジネスの本質とも言える「楽しみをつくる」ことを徹底的に追求することをモットーに、障害のある方が心から楽しめる旅行企画を作りたいと活動してきました。これは、SDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」をかなえることにつながると考えています。

ペガサスは座面が上がるため、絵画鑑賞もカウンターバーも、
健常者と同じ目線で楽しめる(19年3月のシドニーツアー)

「ペガサス・ボヤージュ」は、ゼミの先輩たちが企業の協力を得て開発した電動車いす「ペガサス」を使い、体験したことのない世界を届けるSDGsの旅です。スイッチ一つで座面が80センチほど上がるこの車いすを使えば、健常者と同じ目線で行動できます。AWARDS受賞前は、ツアーの実現可能性を高めることに注力してきましたが、受賞によって自信がつきました。実際にペガサスを利用して海外旅行を楽しんでもらおうと、旅行会社や多くの方のご協力を得て、車いすユーザーを公募し、2019年3月14日から20日まで、オーストラリア・シドニーでオペラハウスや美術館、動物園などの名所をめぐるツアーを催行しました。

ツアー中は、ペガサスがバッテリーの不具合で使えない時間もありました。しかし、モニターとして鹿児島県から参加してくださった30代の男性からは終了後、「とても楽しかった」とお褒めの言葉をいただき、企画を実施できて良かったと感じました。今後は商品企画としてさらに磨きをかけ、誰もが気軽に旅行できる環境を目指すだけでなく、障害のある方に様々な楽しみを提供できるプラットフォームを作りたいと考えています。

奄美大島では、車いすでスキューバを体験

スタディーツアー〈瀬戸内町×JAL〉賞を受賞したことにより、19年9月4~6日に鹿児島県の奄美大島にある瀬戸内町へスタディーツアーに行きました。滞在先は、障害者と健常者がともに安心・安全にマリンスポーツを体験できる総合施設「ゼログラヴィティ」。車いすユーザー向けにスキューバダイビングの資格講習なども実施しています。ここで、実際に車いすでスキューバ体験をしました。

車いすユーザー用のダイビングスーツは、着脱しやすい特注のものです。また、ダイビングポイントへ向かう船もバリアフリーに改装されており、車いすに乗ったまま専用リフトで入水することができます。水中では重力をほとんど感じません。また、インストラクターが、泳ぎやすい体位になるように支えてくれたり、波が穏やかなところを選んで移動してくれたりしたため、安心してダイビングを楽しむことができました。

ツアーでは、瀬戸内町役場も訪問しました。町長や現地の方からは、「奄美大島を俗化された観光地にはしたくない」という声を多く聞きました。私たちも、奄美大島は観光資源が豊富で、沖縄に負けないと感じました。また、昔の街並みが残っており、景観を保存していくことも観光戦略として有益ではないかと考えました。

瀬戸内町の鎌田愛人町長を囲んで

現地では廃校となった校舎も見かけました。少子化が進み、児童・生徒が減って廃校せざるを得ない状況もあるそうです。また、20代から30代の働き盛りの人口も少ないと聞きました。そこで私たちは廃校をコミュニティースクールとして再建し、外から若者を呼び込むことを提案しました。廃校で現地の方からマグロの養殖や黒糖焼酎づくり、ハブの皮を使った工芸品制作などを教わり、島で働ける即戦力の人材を育成するのです。魅力あるコミュニティースクールを運営することで、奄美大島で働く若者も増えるのではないかと考えます。今回のスタディーツアーでは奄美大島の魅力や人口減少の問題を知ることができ、非常に貴重な時間を過ごせたと実感しています。

大学SDGs ACTION! AWARDS で得られたこと

私たちは活動を続ける過程で、「大学SDGs ACTION ! AWARDS」を知りました。全国の大学生たちがどのような研究をしているのかを知る良い機会になるとともに、私たちの研究分野でも参考になることがあるのではないかと思い、エントリーしました。この大会に出場できたおかげで、様々な分野で活動する方々の研究を見ることができ、非常に刺激を受け、勉強になりました。また、私たちの企画についても、あらゆる角度から見つめ直すことができ、今までには思いつかなかったアイデアも生まれてくるようになりました。

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