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対談〈ブログ〉 従来のメディアとどう融合

2005年10月27日

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グラスルーツ・メディア創設者 ダン・ギルモア氏
 51年生まれ。米バーモント大卒。ミズーリ大やミシガン大でも学ぶ。94年〜04年、サンノゼ・マーキュリー・ニュース紙のコラムニスト。05年に市民ジャーナリズムを育てるためのグラスルーツ・メディア社を設立。

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シックス・アパート会長 伊藤穣一氏
 66年、京都市生まれ。米シカゴ大などで学ぶ。99年にベンチャー投資会社ネオテニー設立。ブログ用ソフトを作るシックス・アパート、ブログ検索サービスを行うテクノラティなどベンチャーにも投資。

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世界のブログ数

〈ブログ〉 ウェブログ(ネット上の記録)の略。ホームページを簡単に作れるツール。コメントを書き込んだり、ブログのページ同士で情報をつなぎあったりできる。ここ3年は、5カ月で倍増するペースで増えており(グラフ参照)、現在世界で2000万近くあると考えられている。日本では昨年から大手のサービスが始まり、総務省の調査では、9月末で延べ473万人が利用しているとされる。

〈日記サイト〉 主に個人の日記を掲載するインターネットのホームページ。個人向けホームページ用サービスの普及とともに、90年代半ばから増加。同時期には、米国でも日記形式のサイトが多く見られた。

〈ウィキペディア〉 インターネット上で作られ、誰でも書き込んだり、修正したりできる百科事典。個別の項目で加えられた修正の履歴も残る。各国語で運営され、日本語で15万ほどの項目がある。アドレスは、http://ja.wikipedia.org/

ブログ 世界を変える個人メディア

  • 著者: ダン・ギルモア
  • 出版社: 朝日新聞社
  • ISBN: 4022500174
  • 価格: ¥ 2,205

書籍詳細

表紙画像

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 インターネット上で、個人が日記風に書き込んで簡単に情報発信できる「ブログ」が人気だ。米国ではブログがスクープを連発したり、大手メディアと争ったりする場面も出てきた。ブログは今後、従来のメディアとどう融合していくのか――。「ブログ 世界を変える個人メディア」を出版した米国人のダン・ギルモア氏と、日本でブログ関係のベンチャーを手がける伊藤穣一氏に語り合ってもらった。(司会・服部桂)

 ――ブログとかかわるきっかけは?

 ギルモア 90年代半ばにシリコンバレーに移ってネット関連の取材をするようになった。99年に初期のブログと出合い、自分のサイトも始めてみた。読者が情報を送ってくれ、私より多くのことを知っていると感じた。

 ブログは、取材ばかりか読者との意見交流にも役立ち、ニュースの伝え方が講義から会話のようになっていく。そうしたメディアの変化を本に書こうと思い、ブログで草稿を公開し、読者に貴重な意見をもらった。

 伊藤 私は94年から個人のウェブで日記のようなものを書いていたが、更新が面倒だった。だが、簡単に使えるブログの大きな可能性に気付き、00年の7月に切り替えた。

 ブログを普及させようと活動を始めたが、日本にはもともと日記サイトの文化があり、最初は関係者に反発を受け、ネットの巨大掲示板「2ちゃんねる」で批判されたこともあった。

 ギルモア 以前、「2ちゃんねる」の管理人にも会って、日本にも独自のネット文化があると感じた。昨年来日したとき、ブログ作成者(ブロガー)の集会に出たが、まだ在留外国人の方が多かったようだ。

 伊藤 日本でも最近では日記サイトでもブログ的な機能を採り入れるようになったり、ラジオ番組とブログを連動させる試みも始まったりと、米国より先行する分野も出てきたと感じる。

 ――米国ではブロガーがCBSの報道に異を唱えた結果、キャスターが降板したり、国防総省が取材された内容を全文ネットに掲載したりする事例も出ています。

 ギルモア ブログの重要な役割の一つは、マスメディアの批評家として機能すること。テレビ局が嫌いで悪口を書いた人もいたが、正当な批判もあり、その部分にはメディアも耳を傾けるべきだ。しかしまだ、メディアが取材活動などを監視されることに慣れておらず、現在の動きに戸惑っている状況だろう。

 伊藤 この前の大統領選では、副大統領候補に指名される前に、エドワーズ氏の名前がケリー大統領候補の飛行機の機体に書かれていることを、航空業界の人が最初にネットに書いた。大手のメディアより早くスクープしたことになる。

■正確さは新聞 ギルモア氏/ブログで十分 伊藤氏

 ――米国では、ジャーナリスティックなブログが多いのですか。

 ギルモア ほとんどは個人的な内容を書いている。米国が進んでいるように言われるが、私の本が米国で出た昨年は、米大手メディアは全く取り上げてくれなかった。

 むしろ韓国やイギリスなどの方が反応は良かった。でも最近は、大手の新聞社の経営会議で取り上げられたり、メディアにも頻繁に登場したりするようになった。来年中にはかなり一般化するのではないか。

 伊藤 米国では、同時多発テロや大統領選などの大きな出来事を通し、主張の明確なブログが注目されてきた。日本ではタレントのブログが人気になるなど、文化的色彩が勝っており、メディアの話題が先行している。

 アジアのブログは全般的に社交的な性格が強い。イランでは10万、ドイツは5万、フランスは100万以上と、国によって普及の度合いは違い、国によって受け入れ方に差がある。

 ギルモア ロンドンの同時テロ事件でも、現場にいた人が携帯電話で撮影した映像が世界のメディアのトップを飾った。先日のハリケーン被害の最中には、ブログにテキストばかりでなく、映像や音声を含む多様な情報が掲載された。しかし、多くの情報を整理できなくなり、久しぶりにテレビを見た。まだ大きな事件や災害などについて伝えるのは、大手メディアの方が優れている。

 伊藤 私は質の悪いプロの報道より、むしろきちんとしたアマチュアの発信した情報の方がましだと思っている。出張に行くときも検索したブログの情報で、だいたいの状況を把握できる。

 ギルモア そうだろうか。私は、政治記事や良質なコラムは、絶対ニューヨーク・タイムズで読む。広い取材源を持ち、正確で包括的な視点を持てるのがマスメディアの優れたところだ。ブログは、より専門的な話題や事件などの背景を知るには有効だと思っている。

■市民への教育必要 ギルモア氏/自然に学ぶ力ある 伊藤氏

 ――ブログを通した新しい市民メディアができるのでしょうか?

 ギルモア ブロガーはホワイトハウスに記者として招き入れられており、ブログとプロのメディアの境界はあいまいになりつつある。自分に大切なことを日々発信することは広義のジャーナリズムであるし、わずかの人でも共感してくれればいい。ブログがジャーナリズムかどうかより、メディアの環境が広がっていき、従来のメディアと市民の情報が補完的に共存していく環境ができるととらえるべきだ。

 しかし、発信が多くなれば、より多くのノイズ(雑音)も発生する。その中から必要な信号をきちんとすくい取るための、ジャーナリズム教育も必要になるだろう。

 伊藤 ネット上の百科事典「ウィキペディア」のように、誰でもが書き込んでオープンに批判しあえるメディアによって、多くの人がより統一性のある情報発信の方法を自然に学んでいる。

 これまでは新聞社が印刷や流通を押さえていたが、ネット時代にはほとんどそれがタダになり、IT企業も参入してくる。多くの人はニュースを検索サービスで探して利用するだけで、ブランドで選ぼうとはしなくなる時代が来る。

 ギルモア 米国の新聞は広告収入の比率が高く、利益率も高い。ネットに広告を奪われまいとするあまり、報道が左右されることもある。きちんとした調査報道をできる機構を作る必要がある。ビジネスに流されず、こうした活動を支援するNPO方式を採用したらどうだろう。」

 「今後は誰もがジャーナリスティックな活動ができるようになる時代。市民ジャーナリズムが正確さや公平さをどう確保するか、ジャーナリストとしての経験を伝えていきたい。市民がニュースの過程に加わり発言することで、よりよい市民社会への道が開けると思うからだ。(文中敬称略)

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