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「ディグ」創設者、ケビン・ローズさん(29)に聞く

2005年12月20日

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「『ウェブ2.0』はドットコム・バブルとは違うと思う」と話すケビン・ローズさん=東京都八王子市の東京工科大学キャンパスで

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 ビデオ・ポッドキャスト用の番組収録をするアレックス・アルブレヒトさん(左)とローズさん=東京都八王子市の東京工科大学キャンパスで

 米国で読者投票型ニュースサイト「ディグ(digg.com)」が急成長している。読者が投稿した記事へのリンクに、別の読者が投票して「ニュース価値」を決める仕組みだ。サンフランシスコを中心に活動する同サイトの創設者、ケビン・ローズさん(29)は「読者にパワーを。それが僕たちの考え方だ」と語る。事業拡大に向けて「イーベイ」や「ネットスケープ」の創設者らからも資金を提供を受けた。11月末に来日したローズさんに新たなニュースサイトの可能性について聞いた。

(asahi.com編集部  平 和博)

●アイディアは「スラッシュドット」から

 ――「ディグ」を始めたきっかけは何ですか。

 僕はサンフランシスコにあった「テックTV」というテクノロジー専門チャンネルで番組を持っていた。ある日、テクノロジーニュースの人気サイト「スラッシュドット」の創設者、ロブ・マルダ氏をゲストに迎えたんだ。「スラッシュドット」は、編集者が読者から寄せられた様々なニュースや情報を選別して、読者がディスカッションするサイト。ただ、このスタイルだと、読者が本当に求めていたニュースが、編集者の眼鏡に適わなければ読む機会に恵まれない。

 「だったら、編集者がニュースの価値判断するのではなく、読者に任せてしまえばいい」と思いついた。「読者にパワーを」というわけだ。投稿するのも読者。トップニュースを決めるのも読者だ。マルダ氏に「やってみる気はあるか」と聞いたが、彼は「ない」と答えた。だから僕が04年11月に始めたんだ。

 最初は個人的な趣味のサイトだった。仕事が終わった後、家でしこしこやっていた。だが、始めて2、3カ月たった頃には、もう趣味とか言ってられなくなってきた。すごい勢いでアクセスが増え、フルタイムの事業に切り替えないと、対応できなくなった。

 「ディグ」では、僕は創設者兼チーフアーキテクト。CEOのジェイ・エーデルマンはインターネット・エクスチェンジ[IX]サービス大手の「エクイニクス」の創設者だ。

 ――「ソーシャル・ニュースサイト」と名乗っていますが、どんな仕組みですか?

 僕らの造語だ。「ソーシャル」とは「情報を共有する」という意味がある。急成長して業界トップになった「マイスペース」や「フレンドスター」のようなソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)の場合は、友達が持つ情報の共有。友達の友達を通じて新しい出会いもある。写真共有サイトの「フリッカー」もそうだ。

 僕らはその考え方をニュースに当てはめてみたい。「ディグ」に登録した読者は、面白いと思うニュースのリンクを、コメントと一緒に投稿する。投稿は新着ページに掲載され、他の登録読者は、気に入った投稿に「投票(ディグ)」する。獲得票が一定数に達した投稿はトップページ(15本)に掲載される、という仕組みだ。

 誰がどのニュースに投票したかは、それぞれのプロフィールに記録され、他の読者も見ることができる。あなたの友達が「ディグ」の読者なら、5人でも10人でも、友達が投票した記事を、まとめて1つのRSSフィードとして受け取ることもできる。あなたの友達が選んだ「おすすめ最新ニュース」をリアルタイムで読める。

●どこよりも早いニュースサイト

 ――立ち上げから1年で、ページビューでは「スラッシュドット」にも並ぶ勢いです。何が支持されているのでしょう。

 1日約400万ページビュー、ユニークユーザーは50万人いる。投稿、投票ができる登録者は10万人ぐらい。読者は、ニュースに価値判断を下すことが出来る、という点が気に入っているのかもしれない。しかも、どこよりも早い速報ニュースサイトだと思っている。

 今年初め、「ディグ」は膨大なトラフィックに見舞われた。午前3時ごろ、タレントのパリス・ヒルトンさんの携帯電話がハッキングされ、プライベート写真やアドレス帳データがネット上に流失したというニュースを誰かが投稿した。読者はこのニュースをクリックしまくり、投稿から10分もしないうちにトップページに表示された。おそらく最も早い速報だったのだろう。グーグルやヤフーといった検索サイトが読み込み、「パリス・ヒルトン」「携帯電話」「ハック」というキーワードで検索すると「ディグ」がトップに表示されてしまった。

 信じられない数の人たちが殺到し、サイトはあっという間にパンクした。丸2日間、復旧できなかった。膨大な数の読者の力を身にしみて感じた瞬間だった。

 ロンドンの同時爆破テロの時には、発生から30分とたたぬうちに、現場に居合わせた人が撮った写真つきのブログの書き込みが投稿された。

 BBCやCNN、MSNBCというニュースサイトの場合、記者が速報ニュースを書き、編集者が目を通してニュース価値を決めるから、掲載までには時間がかかる。ところが、「ディグ」の膨大な読者コミュニティーは、時々刻々投稿されるニュースに目を光らせ、吟味し、数分でトップページに上げてしまう。「読者の力」にはかなわないと思う。

 最近、追加した「ディグ・スパイ」という機能がある。投稿、投票したニュースを、リアルタイムでに見せるページだ。投稿されたニュースに次から次へと投票される様子が、「Ajax(エージャックス)」というテクノロジーで、アニメーションのように見ることができる。

 ――ライバルと思うサイトは? 「スラッシュドット」や「グーグルニュース」をどう評価しますか?

 毎日のように、僕らのモデルをコピーしたようなサイトが出てきている。「グーグルニュース」は素晴らしいサービスだが、あくまで彼ら独自のアルゴリズムがニュースを選び出している。「スラッシュドット」も僕らとは考え方の違うサービスで、競合するとは言えない。

●「ウェブ2.0」はバブルとは違うと思う

 ――ウェブを通じた利用者参加型、情報共有、オープンなテクノロジーの組み合わせ、という考え方を重視する「ウェブ2.0」という言葉がブームです。

 シリコンバレーの流行語のようになっている。膨大な自称「ウェブ2.0」企業を目にするし。言葉の定義もまちまちだ。RSSフィードを吐いていれば「ウェブ2.0」とか、「うちはAjax使ってるからウェブ2.0企業だ」とか、「ソーシャルなサービスだ」「テクノロジーのリミックス(マッシュアップ)だ」「利用者がつくるメディア(CGM)だ」と。「ウェブ2.0」と名乗るために、その種のテクノロジーを採用している企業も多い。

 バブルの懸念もある。シリコンバレーでは創業したばかりの企業にどんどん資金が流れ込んでいる。フォックスが7月に、SNSの「マイスペース」を5億8000万ドル(約700億円)で買収したが、信じられない話だ。というかイカレてる。僕は1999年ごろのバブル期にも、いくつかのドットコム企業で働いていた。人々は全く無意味なビジネスモデルに投資し、多くの金がドブに捨てられた。何十人もの社員を一気に雇い、しかも1銭の利益も生まない企業なんていうのが跋扈していた。

 ただ、「ウェブ2.0」が示しているのは、そういう騒ぎとは違う、もう少しスマートなやり方ではないか。今は、極めて優秀な人たちが、5人とか10人といった小さいチームで、小ぶりな資金を集め、最先端のテクノロジーを生み出している。問題は「ファッション」として特定のテクノロジーを使っているかではなく、利用者にどういう機能を提供できるかだ。

 ――「ディグ」は「ウェブ2.0」企業ですか。

 そう呼ぶ人もいるだろう。だが、僕らは流行語のレベルで見られたくはない。僕らがやろうとしているのは、ニュース配信のあり方を変えること。どういうラベルを貼られるのかには関心はない。

 ――10月には、イーベイ創業者のピエール・オミディア氏の投資グループ「オミディア・ネットワーク」や大手ベンチャー投資会社グレイロック・パートナーズ、ネットスケープの創業者、マーク・アンドリーセン氏ら業界の有名人から、計280万ドル(約3億3600万円)の資金提供を受けました。資金の使い道は?

 急成長したので、今の態勢ではとても対応し切れなくなってしまった。そもそも趣味的プロジェクトで、最初はサーバーも全部、自前のものだった。トラフィックの急増に合わせて機材も揃える必要があり、新機能の開発項目も目白押しだ。今は10人態勢だが、例えば、開発者やデータベース、ネットワーク管理者などの人手が足りない。

 今はテクノロジーニュースに特化しているが、ビジネスや政治、国際、スポーツなど、新聞が扱っているすべての分野のニュースに守備範囲を広げていきたい。

 ――どういうビジネスモデルなんですか?

 広告モデルだ。今はグーグルのアドセンスを使っているが、自前の広告エンジンを開発中だ。いずれ広告主は直接、僕らから広告スペースを購入できる。

●変わるのは伝達のスタイルだ

 ――米国でも日本でも、ニュース産業は好調とは言えません。ニュース産業の将来について、どう見ていますか?

 ニュースやジャーナリズムがなくなることがない。良質のジャーナリストやライターが届ける情報は常に求められている。ただ、人々が情報を得る手段が変わっていく。いい記事やコラムを読みたければ、新聞の需要もあるだろうが、今なら筆者のブログに直接行くかもしれない。米国ではすでに、何十人というプロのブロガーがいる。彼らのブログには一定の読者が集まり、それで家族を食わせていけるんだ。

 「ディグ」はそういった情報の伝達の基盤、広場のようなものだ。僕らには、編集者もライターもいない。決めるのは読者だ。

 ――今回の来日の目的は?

 「ディグ」で人気のニュースを取り上げる「ディグネーション」というビデオ・ポッドキャストのトーク番組を、毎週末にやっている。そのロケが主な目的。「ディグネーション」はパーソナリティーのアレックス・アルブレヒト氏と2人でやっている、マイク・マイヤーズ氏の出世作「ウェインズ・ワールド」のような番組だ。視聴者への顔見せの意味もあり、これまでもトロントやテネシー、ラスベガスなどでも収録している。番組の中で「日本に行くかも」って話をしていたらホントに来ちゃった。

 ――日本でのビジネス展開は?

 「ディグ」の国際版を、という要望はある。ただ、内部で検討中という段階。まずは人手を確保し、態勢を整えるのが先決だ。

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