ケータイを使っていると、ユーザーの間で「○○で使えた」「□□は圏外だった」といった具合いに、通話エリア(利用可能エリア)のことが話題になります。特に、最近、NTTドコモのユーザーの間では、FOMAをはじめとする3Gケータイへの移行が進んでいることもあり、エリアが話題になるケースが多いようです。
ケータイが利用できる場所を表わす指針としては、各携帯電話事業者が公開している「人口カバー率」が参考にされています。たとえば、NTTドコモのFOMAは昨年末に全国の人口カバー率が99.9%になり、3Gケータイでもっとも後発のVodafone 3Gも今年3月に人口カバー率で99.75%を達成したとしています。しかし、実際に使っているユーザーの身からすれば、まだまだ使えないエリアがあり、99%以上という値に少し違和感を覚えてしまうかもしれません。
実は、この人口カバー率は、計算方法にからくりがあるのです。人口カバー率を計算するときは、まず、営業区域内の各市町村役場で携帯電話を使い、接続できれば、その市町村の人口をすべてカバーしたと判断しています。各都道府県の人口を母数として、接続できた市町村の人口を百分率で表わしたものが人口カバー率になるのです。
もう少し、具体的に計算してみましょう。たとえば、筆者が住んでいる東京都世田谷区は、2005年4月現在、約80万人が住んでいます。これに対し、東京都の人口は約1216万人です。仮に、今まで東京都世田谷区でまったくケータイが利用できなかったとして、世田谷区役所のある東京都世田谷区世田谷4丁目で通話できるように基地局を設置すれば、「80万÷1216万=約0.07」という計算になり、人口カバー率が約7%向上します。この値を積み上げていくことで、全国の人口カバー率が計算されるわけです。
しかし、世田谷区は東京23区の中でも大田区(約59平方km)と並んでもっとも広く、約58平方kmもあります。区役所付近で通話できたとしても世田谷区の最南端まで約6km、最北端まで約7kmもあり、これらの地域すべてで通話や通信ができるとは限りません。つまり、ケータイの利用可能エリアの指針とされている人口カバー率は、実際の利用可能エリアと必ずしも合致していないわけです。
なぜ、こうした人口カバー率が利用されるようになってきたのでしょうか。ケータイは元々、ビジネスユースで使われてきたこと、地域によっては市区町村役場を中心に街が発展してきたことなどが要因とされています。しかし、現在では個人がプライベートでケータイを利用するようになり、人口カバー率が利用可能エリアの判断に適さなくなってきたわけです。そこで、最近では人口カバー率ではなく、他の統計方法で利用可能エリアを判断できるようにすることも検討されています。
私たちはケータイを使うとき、画面に表示されている電波状態表示のアイコン(通称:アンテナマーク)を見て、その場所が利用可能エリアかどうかを判断しています。よくケータイの画面を見ながら、「オレのは3本立ってる」「私のは1本しか立ってない」といった会話を耳にします。しかし、携帯電話事業者によって、通信方式が異なりますし、機種によって、アンテナマークの本数や表現方法が違うこともあります。
また、ケータイは基地局から届く電波の強さを確認して、アンテナマークを表示していますが、電波状態は刻々と変化しています。そのため、タイミングによってはアンテナマークがすべて表示されていたのに、実際の通話や通信が不安定だったり、着信ができなかったということも起こり得ます。たとえば、直前まで無線チャンネルが空いていたのに、同じ基地局のエリア内にいる誰かが発信したため、空きチャンネルがなくなったという場合などです。つまり、アンテナマークは電波状態を表わす『目安』に過ぎないのです。
最近では電波状態表示をアンテナマークではなく、イラストやキャラクターで表示できる端末も登場しています。電波状態に一喜一憂するのではなく、こうした遊びゴコロをもって、ケータイを楽しんでみてはどうでしょうか。