現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. デジタル
  4. 藤本健のオーディオステーション
  5. 記事

レコードやカセットテープの曲をデジタル化する(3)

2008年6月20日

  • 筆者:藤本 健

写真画面1:録音したファイルに「ノーマライズ(正規化)」を行うと、音がひずまない範囲で最大限に音量を上げることができる ※クリックすると拡大します

写真画面2:曲の最初から最後までマウスをドラッグして選択し、上に表示されているマーク画面を右クリックして「選択範囲にマーク追加」を行う。こうして設定した区間マーク単位で分割して保存すれば、一曲単位のWAVファイルになる ※クリックすると拡大します

写真画面3:「拡大」ボタンで曲の最後を拡大し、無音部分をマウスドラッグで選択して「フェードアウト」を行うとノイズを消せる。曲の最初は同じ手順だが「フェードイン」処理となる ※クリックすると拡大します

 前回は波形編集ソフトである「SoundEngine Free」を使い、レコードやカセットテープといったアナログメディアの曲をパソコンで録音する方法を紹介しました。しかし録音したファイルはレコードやカセットテープの片面に記録されている曲がすべてつながっていて、このままだとプレーヤーソフトやデジタルオーディオで選曲することが出来ません。また場合によっては音量が小さすぎることもあります。今回はこれを修正してみましょう。

 まずは音量の調整です。Cycle of 5th(サイクル・オブ・フィフス)のSoundEngine Freeの下側には、録音した曲が波形として表示されています。この波形は横方向が時間、縦方向が音量を示しています。つまり表示されている波形の上下幅が大きいほど、再生したときの音量も大きくなります。前回紹介したようにパソコンでの録音前に録音レベルを調整しましたが、そのときの設定が低すぎると波形の上下幅も小さく、音量も小さくなってしまいます。ただし録音レベルが高すぎると、最大値である0dBを超えてしまい、そのポイントで音がひずんでしまいますので厳禁です。

 音量が小さい場合はノーマライズという処理を行うことで、音量を上げることが出来ます。これは単純に音量を上げるだけでなく、録音ファイルの中でも一番音量が大きいポイントが0dBを超えないように音量を上げるため、音がひずむことはありません。ノーマライズは「音量」メニューの「ノーマライズ(正規化)」を選択すれば実行できます(画面1)。処理が終了したら再生して音量の違いを確認してみましょう。

 次は全曲がつながっているファイルを、一曲ごとに分割してみましょう。SoundEngine Freeでは区間マークという機能があり、これを設定することで曲単位で分割して保存できます。表示されている波形で縦方向の動きが小さいポイント=曲間の無音部分となります。

 再生して曲間を確認し、曲の頭から終わりまで波形の上でドラッグして選択しましょう。この状態で波形の上に表示されているマーク画面を右クリックして「選択範囲にマーク追加」を実行すると、曲の頭と終わりに緑の▼で区間マークが追加されます(画面2)。同じ作業を曲ごとに繰り返し、たとえば5曲含まれているファイルならば5つの区間マークを設定してください。なお前回紹介したようにまずパソコン側で録音を開始し、次にレコードプレーヤーなど再生機器で再生をスタートすると録音ファイルの頭と終わりに無音部分が入っているはずですが、この区間マークを追加するときに無音部分は選択せず曲の始まるポイントから選択することで、無音部分を削除できます。

 すべての曲に区間マークを設定し終わったら、「ファイル」メニューの「その他の保存」から「区間マークで分割保存」を実行します。すると左側のマークから01、02……と番号が振られ、曲単位で分割した複数のWAVファイルとして保存されます。

 これで音量の調整と曲の分割は出来ました。しかし分割したWAVファイルを聴いてみると、曲の頭と終わりに「プツッ」といった小さいノイズが入っているはずです。これはレコードやカセットテープでは無音部分とはいえ実際には微妙な信号が記録されているためで、ファイルを分割するとその微妙な信号がいきなりなくなってしまうため、ノイズとして聴こえるのです。

 このノイズはフェードという処理を行うことで消すことが出来ます。フェードとは徐々に音量を上げる、または下げることで、音量を上げることをフェードイン、下げることをフェードアウトと呼んでいます。

 フェードは曲の頭と終わりにある無音部分を選択し「編集」メニューの「フェード」で実行します(画面3)。「開く」ボタンで先に分割保存したWAVファイルをひとつずつ読み込み、曲の頭は音量を上げる「フェードイン」、曲の終わりは音量を下げる「フェードアウト」を行いましょう。処理が終わったら「保存」ボタンをクリックすると上書き保存されますので、すべてのファイルにフェード処理を行えば完成です。

 このようにちょっと手間と時間は掛かりますが、一度パソコンに取り込んでWAVファイルとして保存しておけばプレーヤーソフトで再生できますし、普段は使わないレコードプレーヤーやカセットデッキを片付けても困らないでしょう。またほかのソフトを使えばWAVファイルから音楽CDを作成したり、MP3やAACといった圧縮オーディオファイルに変換してデジタルオーディオに転送して楽しむことも出来ます。思い出の詰まったレコードやカセットテープがたくさん手元にある人は、ぜひともチャレンジしてみてください。

プロフィール

藤本健(ふじもと・けん)

ライター兼エディター。デジタルオーディオ機器およびDTM関連を中心に雑誌やWebサイトで試用レポートや解説記事などを執筆。「AV Watch」で藤本健の「Digital Audio Laboratory」の連載、「All About」で「DTM・デジタルレコーディング」のガイドを担当。「サウンド圧縮テクニカルガイド 」(BNN新社)、「コンプリートDTMガイド・ブック」(リットーミュージック)など著書も多数ある。

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内