2008年10月24日
画像1:目の前のディスプレーでいっぱいに広がる映像体験が楽しめるニコンの「UP」
画像2:「UP」のディスプレー部。バックライト付きの0.44型液晶パネルに映った映像を接眼レンズで拡大して表示する
画像3:目の前にディスプレーをセットするオーバーラップ・ポジション(左)。音楽だけを楽しみたいときはディスプレーを跳ね上げたミュージック・ポジション(中央)。選曲などで画像を補助的に見たいときはアシストビュー・ポジション(右)
画像4:ディスプレーはアームの上下および伸縮、先端部の上下左右および回転により細かいフィッティングを実現。左右どちらの目でも使えるようになっている
画像5:同こんソフトの「UPlink(ユー・ピー・リンク)」を利用した動画や音楽の配信サービスも予定されている
最近のデジタルオーディオプレーヤー(以下デジタルオーディオ)はカラーディスプレーを備え、音楽だけでなく動画や写真も楽しめることが当たり前になっています。ただ本体がコンパクトなため画面サイズも必然的に小さくなるので、大画面テレビやパソコンに比べるとちょっと迫力不足と感じている人もいるかもしれませんね。今回はそんな人にも注目してほしい、新しい形態のデジタルオーディオ「UP(ユー・ピー)」を紹介しましょう。
「UP」は、ニコンの直販サイト「UPSTORE(http://www.upstore.jp/)」で今月15日から予約が始まり12月中旬に発売が予定されているデジタルオーディオで、一般的なデジタルオーディオとはまったく異なる形をしています(画像1)。一見するとオーバーヘッド型の本格的なヘッドホンのようですね。よく見てみると片方のヘッドホンハウジングからアームが伸び、カメラのようなものが付いています。
実はこれ、カメラではなく小型のディスプレー。バックライト付きの0.44型液晶パネルに映った映像を接眼レンズで拡大して表示するしくみになっています(画像2)。UPを装着すると目の前にこのディスプレーが位置するので、本体は小型ながらも視野いっぱいに広がる画像を楽しめます(画像3)。本体内には音楽や動画ファイルを保存するフラッシュメモリーを含めデジタルオーディオ機能が搭載されているので、UPだけで迫力の映像と音声をすぐに楽しめます。
UPにはメモリー容量8GBで高機能タイプの「UP300x」と、メモリー容量4GBでベーシックタイプの「UP300」が用意されています。今回は発売に先駆けUP300xの試作機を借りることができたので、その新しい世界を体感してみました。
UPのディスプレーは眼球の目の前にセットしなくては正常な映像を見ることができません。このディスプレーはアームが上下するだけでなく、伸び縮み、そしてカメラ部分を上下左右および回転させて微調整することができるようになっています(画像4)。また左目、右目どちらで見ることもできるようになっており、その場合は表示される画像の上下と、ヘッドホンの左右のチャンネルをスイッチひとつで切り替えます。
動画ファイルはMPEG1およびMPEG2、WMV9に対応。今回は試作機と言うこともあり転送のためのソフトがまだ用意されておらず、サンプルファイルを試聴しました。映像は片目で見ることになるため、もう片方の目からは周りの風景も視野に入り最初は少し違和感を感じます。しかしそれもほんの最初だけで、30秒も見ていれば目の前いっぱいに広がる映像に没頭できました。画質は高精細で、視野に入る画像のサイズはまさにテレビを見ているかのよう。ディスプレー位置の調整範囲も幅広く、誰が使ってもベストポジションに設定できるでしょう。
音楽再生機能はMP3およびWMAファイルに対応しています。選曲操作は十字ボタンとダイヤルを組み合わせたマルチセレクターで行います。ディスプレーに表示される曲ファイルを見ながらの操作はわかりやすく、またジャケット画像の表示にも対応しています。また高機能モデルのUP300xにはモーションセンサー機能が搭載されており、マルチセレクターを手で操作する以外にも、頭を上下左右に動かすことで動画や音楽の再生や停止、選択の操作ができます。ちょっと慣れが必要ではあるものの、なかなか新鮮な体験です。
見た目は本格的なヘッドホンのようなUP、ヘッドホン部分には40ミリという大口径のドライバーユニットを採用しています。低域から高域まで豊かな印象で、なかなか高音質に感じました。
音楽に没頭するとなると目の前のディスプレーが邪魔に感じるかもしれません。UPのディスプレーはヘッドホンのアーム側に跳ね上げてミュージック・ポジションにすることができるようになっています。
UPにはそのほか、無線LANを利用してインターネットを楽しめるWebブラウザー機能を搭載。製品発売時には同こんソフトの「UPlink(ユー・ピー・リンク)」を利用した動画や音楽の配信サービスも予定されています(画像5)。従来のデジタルオーディオの概念とは一線を画する製品の誕生、12月の発売が楽しみです。

ライター兼エディター。デジタルオーディオ機器およびDTM関連を中心に雑誌やWebサイトで試用レポートや解説記事などを執筆。「AV Watch」で藤本健の「Digital Audio Laboratory」の連載、「All About」で「DTM・デジタルレコーディング」のガイドを担当。「サウンド圧縮テクニカルガイド 」(BNN新社)、「コンプリートDTMガイド・ブック」(リットーミュージック)など著書も多数ある。