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コラム「デジタル読書トレンドWatch!」

不朽の名作をもう一度、ケータイでも読める 『星の王子さま』

2007年12月18日

[評者]落合早苗

 街がイルミネーションに彩られて、クリスマスムードも盛り上がってきた。

 書店店頭でも、オンライン書店の特集でも、この時期は絵本や海外文学などクリスマス関連書で賑やかである。

 ところが電子書籍は、というと、残念ながら絵本も海外文学も作品数が豊富とはいえない。絵本に関してはデジタルデバイスでの読書の需要が見込めないこと、また海外文学については国内での出版契約にデジタル送信権が含まれていないケースが多いことなどがその理由である。そのため、数少ない「海外文学」のジャンルは著作権が切れている作品で占められている。古典名作といわれるものが多いのだが、そんな中でも特に目をひくのは『星の王子さま』(サンテグジュペリ著・小島俊明訳/中央公論新社)である。

 岩波書店の翻訳権が消失したのにともない、2005年以降、オーディオブックまで含めると実に二十数もの『星の王子さま』新訳が続々と出版された。本作品はその1つで、2006年3月発行のされた中公文庫版を底本(単行本は2005年6月発行)とし、電子書籍化された。『星の王子さま』は、サンテグジュペリが亡命中に、米・ニューヨークの出版社から「クリスマスのプレゼント用に」という注文を受けて執筆されたもの。初出は1943年。著作権保護期間を超えてなお読まれ継がれている名作が、今やPCでもPDAでも、そしてケータイでも読めるよう環境になったのだ。原著者のサンテグジュペリによる挿画も掲載されており、PC向けのKeyringPDFファイルでは横書きで、PDA・ケータイ向けXMDF形式では「横組み表示」が推奨されている。

 なお、海外文学については、原著の著作権が切れた作品がグーテンベルク21から多く出されており、この中には、ディケンズの『クリスマス・カロル』(本作品はPC向けには筑摩書房版の「クリスマス・ブックス」にも収録されている)や、 O・ヘンリーの『賢者たちの贈りもの』(「O・ヘンリー短編集・下」収録)もある。不朽の名作をケータイで読むというのは味気ない話ではあるが、子どものころに読んだ本が何らかの事情で今は手元にないというかたがたには、読み返してみたい作品が見つかるかも…。

プロフィール

落合早苗(おちあい・さなえ)
株式会社hon.jp代表取締役社長
学習院大学文学部卒。出版社・IT関連サービス会社等を経て2004年3月インプレス(現・インプレスホールディングス)入社。同月設立の100%子会社リーディングスタイル(現・hon.jp)に出向。丸善丸の内本店の電子書籍体験コーナーの運営や表参道のカフェを使ったケータイ読書プロモーションを企画実施。2006年10月より現職。日本ペンクラブ会員。日本出版学会会員。

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