現在位置:asahi.com>デジタル>法林岳之のデジタルトレンド羅針盤> 記事 有機ELディスプレーは何がいいの?2008年02月28日 ケータイやポータブル音楽プレーヤーをはじめ、多くのデジタル機器には、さまざまな情報を表示するためのディスプレーが装備されています。最近、これらの機器のディスプレーとして、採用されることが増えているのが「有機EL」です。今回は「有機EL」について、説明しましょう。
現在、私たちが利用するデジタル機器のディスプレーとして、もっとも広く採用されているのは「液晶」です。液晶は1970年代に電卓に採用され、シャープやカシオ計算機などが激しい開発競争がくり広げられたことで、一気に普及しました。その後、液晶はモノクロからカラーに進化し、高精細化や高画質化などの改良が続けられ、現在では100インチを超える大きなサイズの液晶パネルも生産されるようになり、薄型テレビの主役となっています。 これに対し、ここ数年、ケータイのサブディスプレーなど、コンパクトな機器のディスプレー用として採用されることが増えているのが「有機EL」です。有機ELは電流を加えることで光る有機材料を発光体として使うディスプレーです。液晶が背面からバックライトで照らし、ちょうど影絵のような形で映像を表示しているのに対し、有機ELはパネルそのものが光る構造のため、バックライトが不要になり、薄型化が実現しやすいなどのメリットがあります。ケータイのサブディスプレーなどに有機ELが採用されているのは、ケータイの本体の薄型化に貢献できるためです。 また、自己発光する有機ELは視認性が良く、応答速度も速く、視野角も広いという特長を持ち合わせています。コントラスト比も高く、液晶の数百:1程度に対し、有機ELは数千:1以上、なかには100万:1もの高いコントラスト比を実現した商品もあります。 こうしたメリットを持つ半面、有機ELにはいくつかの課題が指摘されてきました。たとえば、有機ELでは発光体として使われる有機材料が使っていくうちに劣化するため、液晶に比べると、寿命が短いと言われています。現在では有機材料や製造方法が改良され、ケータイなどで利用されるサイズのものについては、十分な寿命が確保されています。 また、有機ELはプラズマディスプレーなどと同じように、画面上に同じ形や文字を表示し続けると、その部分だけが劣化し、焼き付いたように見えてしまいます。この点については、デジタル機器のソフトウェアを工夫し、一定時間の操作がなければ、画面表示をOFFにするなどの処理を加え、焼き付きを防止しています。有機ELを採用したケータイのサブディスプレーがすぐに消えてしまうのも同じ理由によります。 また、もう一つの課題として、サイズやコストが挙げられます。現在、有機ELはケータイ用のサブディスプレーでの採用がもっとも多く、昨年あたりから有機ELの高画質表示を活かすワンセグケータイのメインディスプレーにも採用されるようになってきました。ポータブル音楽プレーヤーやカーオーディオの表示部などにも採用されていますが、いずれも画面サイズは3インチ以下で、それほど大きくありません。 実は、有機ELにとって、もっとも大きな課題は大型化とコストにあると言われています。昨年末、ソニーから発売された世界初の有機ELテレビ「XEL-1」は、最薄部で3mmという超薄型と高画質で注目を集めましたが、画面サイズとコストという点で見ると、11インチで20万円と、他の薄型テレビに比べ、かなり割高な印象は否めません。ソニーではすでに27インチの有機ELテレビを開発したことを明らかにしていますが、発売時期などは未定となっています。 液晶やプラズマに続く、将来のテレビ用表示デバイスとして、有機ELは大きな期待が寄せられています。しかし、かつての大型液晶パネルのときと同じように、大型の有機ELは生産が非常に難しく、一般消費者が購入できる価格帯の大画面の有機ELテレビが登場するには、早くてもあと5年以上は掛かると見られています。 プロフィール
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