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無線LANの新規格「11n」がようやく正式化(1/2ページ)

2009年9月24日

  • 筆者:斎藤幾郎・西田宗千佳

写真拡大画像1:無線LAN製品で大きなシェアを持つバッファローは、8月の段階でドラフト2.0対応製品の11n正式対応化を告知

写真拡大画像2:周辺機器メーカーのアイ・オー・データ機器は、9月11日の正式承認後、ドラフト2.0対応製品の11n正式対応化を告知

写真拡大画像3:各パソコンメーカーもウェブサイトで11nへの対応の告知を始めた(画面はNECのもの)

写真拡大画像4:11n対応のアクセスポイントは複数のアンテナを使用する。バッファローのWZR―HP―G300NH(実勢価格1万2800円)のように、外から見える可動式アンテナを備える製品も多い

 無線LANは、今やパソコンだけでなくゲーム機や高機能携帯電話(スマートフォン)などにまで搭載され、インターネットに接続するための基本機能になっています。現在販売されている製品の多くは「IEEE802.11n Draft(ドラフト)2.0」と呼ばれる規格に準拠するものですが、これは「ドラフト(草案)」の名の通り、正式化前の規格であることを意味していました。つい先日の9月11日、ついに「ドラフト(草案)」の名が取れた「11n」の正式な規格が承認されました。今回は、正式版の登場で「ドラフト2.0」がどうなるのかをお知らせし、11nの基本についても、改めて紹介しましょう。(斎藤幾郎)

「ドラフト2.0対応製品」はそのまま正式対応に

 11nは、正式名称を「IEEE802.11n」といい、IEEE(米電気電子学会)で規格化された無線LANの国際規格です。既存規格で、通信速度が最大12MbpsのIEEE802.11bや最大54MbpsのIEEE802.11a/gよりも高速な通信を可能とすべく開発されました。最大300Mbpsと高速です。11日に正式な規格として承認されましたが、議論途中でまとめられたドラフト(草案)のバージョン2.0に対応する製品がすでに多くのメーカーから発売されていました。無線LAN製品の相互接続テストや認定を行う業界団体である「Wi―Fi(ワイファイ)アライアンス」が、ドラフト2.0から、認証を始めていたからです。

 ドラフト2.0から正式版への変更点が追加機能的な部分で、基本的な通信方法については変更されなかったのです。そのため今回の規格正式化が確定した今年8月、Wi―Fiアライアンスは「2007年6月以降に認証されたドラフト2.0製品を、そのまま正式対応として承認する」ことを発表しました。

 つまり、「Wi―Fi」のロゴマークが付いた既存の「Draft2.0」対応製品はそのまま「正式版」となり、今後発売される「正式の11n対応製品」との相互接続も保証されることになります。親機となるアクセスポイントや子機側の無線LANアダプターなどの内蔵ソフト(ファームウエア)を更新する必要もありません。11nの正式化を待っていた人も、ドラフト版対応製品では正式版との通信に制限があることを心配していた人も、安心して現在の製品を購入できる状況になったと言えそうです。

 Wi―Fiアライアンスの発表や11n正式化によって、国内無線LAN機器メーカーやパソコンメーカーも次々とウェブサイトでこのことを発表し、自社製品の対応状況をまとめるようになりました(画像1〜3)。各製品ごとのページを見ると、どうやら晴れて11n対応となっても、一部の親機子機の組み合わせでは通信できないこともあるようです。すでにドラフト2.0対応製品を使っている人は、製品のページも確認しておきましょう。

 Wi―Fiアライアンスが草案段階で認証テストを開始した理由は、ドラフト2.0の内容がかなり細かく固まっていたからですが、メーカーとユーザーそれぞれのニーズが高かったことも背景にあります。

 インターネットへの接続手段として高速通信可能なブロードバンドが普及していますし、高速な通信を必要とする高画質映像を伝送するニーズも高まり始めていて、「もっと速い通信」が求められたのです。すでに2005年には、独自技術で11gの通信を2倍の108Mbpsに高める製品が発売され、注目を集めていました。

 そこで採用されたのが「MIMO(マイモ)」と呼ばれる技術です。「Multiple Input Multiple Output(複数入力、複数出力)」の頭文字を取ったもので、その名の通り、複数のアンテナで同時に通信をすることで従来より高速な通信を行います。この技術は、11nにも採り入れられています。

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プロフィール

斎藤幾郎(さいとう・いくお)

1969年東京都生まれ。主に初心者向けのデジタル記事を執筆。朝日新聞土曜版beで「デジタル若葉マーク」を連載中。近著に「パソコンで困ったときに開く本」(朝日新聞出版)、「グーグル100%利用術」(同)、「てくの生活入門」(講談社、一部を担当)がある。新刊「すごく使える!超グーグル術」(ソフトバンククリエーティブ)が3月19日に発売!

西田宗千佳(にしだ・むねちか)

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは「電気かデータが流れるもの全般」。朝日新聞、アエラ(朝日新聞出版)、AV Watch(インプレス)などに寄稿。近著に「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」(朝日新書)、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)がある。

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