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「CELL REGZA」から見える「テレビの未来」(1/3ページ)

2009年10月8日

  • 筆者:斎藤幾郎・西田宗千佳

写真拡大画像1:東芝のCELL REGZA 55X1。画面サイズは55型。パネルの他、チューナー・レコーダー機能などを司る本体が付属。画質・音質が非常に良いだけでなく、機能も満載

写真画像2:CELL REGZAを発表する、東芝・デジタルメディアネットワーク社の大角正明社長

拡大画像3:CELL REGZAでは、地デジ8チャンネルを同時に「自動録画」するため、大量の番組が蓄積される。それを呼びだすための操作画面が「ローミングナビ」(画面)。中央の番組に関連した番組を、簡単に呼び出せる

写真拡大画像4:一度に8チャンネルの地デジ番組を同時に見ることもできる。常に使う機能ではないだろうが、高い性能がないと実現できないものでもある

拡大画像5:CELL REGZAの内部。中央にあるのが、メイン処理を行うCPUである「Cell Broadband Engine」。性能は、PS3に使われているものと同じ。ちなみに、メモリーは1GB搭載されている

写真拡大画像6:会見にて示された、「CELL REGZA」の未来と、テレビの未来の関係を示す図。将来的に、多くのテレビにCELL REGZAの機能が入ると東芝は予想している

 10月5日、東芝は、同社のフラッグシップテレビ「CELL REGZA(セル・レグザ) 55X1」(画像1)を発表しました。発売は12月上旬。価格はオープンプライスですが、店頭での販売価格はなんと100万円前後、と予想されています。

 ジーンズが1000円以内で買えて、液晶テレビも20万円前後が売れ筋、と言われるこのご時世に、なんとも豪勢な話……と思われる方も多いでしょう。でも、このテレビが高いことには、そうである理由と意味があるのです。今回は、「CELL REGZA」のどこがすごいのかを解説してみましょう。(西田宗千佳)

地デジで失われた「快適さ」を再び実現

 CELL REGZAは、55型の液晶テレビです。55型は、日本国内向けとしてはかなり大きいサイズ。CELL REGZAほど特別な付加価値のない、現行の各社製品でも、50万円を超える価格帯です。とはいえ、そのさらに倍、100万円という価格は群を抜いて高い、といえるでしょう。

 では、なぜこんなに高いのでしょうか? 理由を、東芝・デジタルメディアネットワーク社の大角正明社長(画像2)は、「現在のテレビではできないことをするため。テレビの革命のため」と話します。

 では、その「テレビの革命」とはなんなのでしょうか? カギは3つあります。

 一つ目は録画機能。同社は、テレビにハードディスクを搭載した「録画機能内蔵テレビ」で高いシェアを持ち、業界をリードする立場にありますが、CELL REGZAでは、考え方をさらに変えています。従来、テレビ録画といえば、「自分が見たい番組を選んで録画する」ものでした。当然のことですが、自分が知らなかった番組や、すでに放送済みの番組を「時間軸をさかのぼってチェックする」ことはできませんでした。しかしCELL REGZAでは、地上デジタル放送8チャンネル分を、過去丸一日分、常時録画し続ける機能を搭載しています。すなわち、一日前の番組までならば、放送済みであろうが放送中であろうが、すべての局の、すべての番組を「さかのぼってチェックできる」ようになるのです。この機能を、同社は「タイムシフトマシン」と呼んでいます。

 この機能を実現するため、CELL REGZAには、11個の地デジチューナーと3個のBS/CSデジタルチューナー、合計3TB(3096GB)のハードディスクが搭載されています。一般的なブルーレイ・レコーダーの場合でも、チューナーが地デジとBS/CSでそれぞれ2つ、ハードディスクが最大2TB程度であることを考えると、いかに常識外れな中身であるかがおわかりいただけると思います。

 二つ目が「操作性」。地デジになって、テレビは確かに高画質・高音質になりましたが、アナログ時代に比べ、操作性の面では退化しています。以前は一瞬で変わったチャンネルも、地デジでは数秒かかる機種も珍しくありません。番組表の呼びだしにも、数秒の時間がかかる場合がほとんどです。ウェブブラウザーを搭載したテレビも少なくありませんが、その動作速度はパソコンなどよりも遅く、実用性に欠けます。

 ですが、CELL REGZAでは、そういった「遅さ」がありません。大量に搭載された地デジチューナーを並列に使うことで、チャンネル切り換え速度を再び「一瞬」に戻すことに成功しました。それだけでなく、番組表の呼びだしや録画設定も高速に反応し、「打てば響く」ような操作が実現されています(画面3)。また、同時に8チャンネルの番組を表示したり(画面4)、パソコンと同等のクオリティー・速度でウェブを表示したり、といったことも可能になっています。

 そして三つ目の要素が、もちろん「高画質・高音質」。液晶のバックライトにLEDを採用、画面全体を512分割し、それぞれで細かく明るさを変える「エリア駆動」という方式を使い、暗いところと明るいところをしっかり分けて表現することで、液晶が苦手なコントラスト感を再現しています。ダイナミックコントラスト比は500万:1。従来の同社フラッグシップ機「ZX9000シリーズ」が200万:1でしたから、さらにその2倍以上の性能を実現したのです。また、解像度の低い映像をより高いクオリティーに補完する「超解像技術」も、従来の製品よりもさらに向上しています。音質については、映像の内容をリアルタイムに解析し、音楽と人のセリフで聞きやすさを自動的に補正したり、CMの内容に応じて音声レベルを自動的に調整する、といったことも行われています。

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プロフィール

斎藤幾郎(さいとう・いくお)

1969年東京都生まれ。主に初心者向けのデジタル記事を執筆。朝日新聞土曜版beで「デジタル若葉マーク」を連載中。近著に「パソコンで困ったときに開く本」(朝日新聞出版)、「グーグル100%利用術」(同)、「てくの生活入門」(講談社、一部を担当)がある。新刊「すごく使える!超グーグル術」(ソフトバンククリエーティブ)が3月19日に発売!

西田宗千佳(にしだ・むねちか)

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは「電気かデータが流れるもの全般」。朝日新聞、アエラ(朝日新聞出版)、AV Watch(インプレス)などに寄稿。近著に「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」(朝日新書)、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)がある。

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