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グーグルのパソコン用OS「クロームOS」って何だ?!(1/3ページ)

2009年11月26日

  • 筆者:斎藤幾郎・西田宗千佳

写真拡大画像1:クロームOSの起動画面。見た目はほぼ、同社が公開しているウェブブラウザー「クローム」そのものといってよく、操作方法も同じだ

写真拡大画像2:メールは「Gメール」で。この他、ウェブメールならなんでも利用可能。グーグルのサービスに特化しているわけではない

写真拡大画像3:オフィス文書は、「グーグル・ドキュメント」の他、マイクロソフトが試験公開中の「オフィス2010ウェブ版」でも閲覧・編集ができる。ウェブ版だが動作は素早い

写真拡大画像4:メモリーカード内にある画像や動画も表示できるが、表示を担当するのはあくまで「ウェブブラウザー」。画像編集ソフトや画像閲覧ソフトを使う一般的なパソコンとはずいぶん異なる

写真拡大画像5:オープンソース形式で公開されている開発途上版「クロームOS」の起動画面。名称は、グーグルが公開する「Chrome OS」ではなく「Chromium」になる。まずグーグルのサービスにログインするためのIDとパスワードの入力から始まる

写真拡大画像6:日本語もきれいにきちんと表示できるが、入力はまだできない。日本語入力などがどのような形で搭載されるか、気になるところだ

 11月19日、米グーグルは、かねてから開発していたパソコン用OS「Google Chrome OS」(以下クロームOS)の概要を発表、開発途上版ではありますが開発者向けにソフトウエアの大半を「オープンソース形式」で公開しました。インターネットの世界の巨人が、ライバルであるマイクロソフトの牙城に切り込んだとして、IT業界内のみならず、様々な業界から注目が集まっています。では、クロームOSとはどんなOSなのでしょうか? 本当にウィンドウズのシェアを切り崩すような存在なのでしょうか? 現在公開されている情報から、詳細を説明してみましょう。(西田宗千佳)

動くのは「ウェブブラウザー」だけ? 常識はずれのOS

 グーグルがクロームOSの開発を発表したのは、今年7月のことです。以来、機能やデザインについての詳細に口を閉ざしてきたのですが、今回初めて、詳細について情報を公開しました。19日、グーグルはアメリカで会見を開き、記者向けにクロームOSのデモを行いました。今回の記事は、同社が公開している同会見の映像と、「オープンソース版」として公開されている開発途上版を元に説明します。画像も、グーグル公開の映像と、開発途上版から抜粋したものです。ただし、クロームOSは現在も開発途上であり、みなさんのパソコンで実用的に使えるものが公開されたわけではありません。グーグルは「製品」としての市場投入は2010年後半、とコメントしています。細かな機能や画面デザインなどについては、変更される可能性があります。

 クロームOSの画面は、ウィンドウズやMacOSのそれとは大きく異なります。画像1は、クロームOSの起動直後のものですが、OSの画面というよりは「ウェブブラウザーの画面」です。実は、この画面こそが、他のOSとクロームOSの思想の違いを表しているのです。

 ウィンドウズにしろMacOSにしろ、パソコン用OSといえば、基本機能はファイル整理にアプリケーションの起動。いわゆる「ウインドーとアイコン」の組み合わせです。

 しかしクロームOSでは、それらの要素は主役ではありません。主役はウェブブラウザーそのものなのです。そこで、OSから他の機能をできる限り削除し、いきなりウェブブラウザーが起動するようにしたものがクロームOS、というわけです。

 ですので、クロームOSでは、一般のパソコンで言うところの「アプリケーション・ソフト」を使いません。電子メールもワープロも表計算もグラフィックも、すべて「ウェブアプリケーション」を利用します。Gmailやグーグル・ドキュメントなどのウェブアプリケーションは、みなさんも利用したことがあるのではないでしょうか(画像2)。技術の進歩により、以前は機能や操作性が悪かったウェブアプリケーションも、いまやアプリケーション・ソフトと大差ないものも増えています。あのマイクロソフトも、2010年発売予定の「マイクロソフト・オフィス2010」では、ウェブアプリケーション版を用意するほどです。そしてもちろん、それはクロームOSでも利用できます(画像3)。もちろん、メモリーカードなどに入っている写真や動画も再生できますし(画像4)、ゲームもできます。パソコンでできることの大半を「ウェブ」の仕組みで代替しよう、というのが、クロームOSなのです。

 データの大半はパソコンの中でなく、「ネットの向こう」に保存します。ですので、クロームOS起動時には、まず「ID」と「パスワード」の入力が求められます。その後、自動的にグーグルのサービスに接続し、それらのウェブアプリケーションとデータが利用できるようになるのです(画像5)。

 利用するウェブアプリケーションは、クロームOS専用の特別なものではなく、現在パソコンや携帯電話などで使われているもの。ですから、新たに特別な操作方法を覚える必要はないですし、クロームOSが登場してすぐに、パソコンでやっていることと同じ作業が行えます。

 なお、現時点で公開されている開発途上版では、日本語の表示は行えるものの、日本語の入力ができません。そのため、日本語入力にもネット接続が必須であるか否かといった点は不明なままです。

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プロフィール

斎藤幾郎(さいとう・いくお)

1969年東京都生まれ。主に初心者向けのデジタル記事を執筆。朝日新聞土曜版beで「デジタル若葉マーク」を連載中。近著に「パソコンで困ったときに開く本」(朝日新聞出版)、「グーグル100%利用術」(同)、「てくの生活入門」(講談社、一部を担当)がある。新刊「すごく使える!超グーグル術」(ソフトバンククリエーティブ)が3月19日に発売!

西田宗千佳(にしだ・むねちか)

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは「電気かデータが流れるもの全般」。朝日新聞、アエラ(朝日新聞出版)、AV Watch(インプレス)などに寄稿。近著に「クラウド・コンピューティング ウェブ2.0の先にくるもの」(朝日新書)、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)がある。

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